内容説明
いよいよ論件は「悪人正機」へ。終始一貫して常識感覚で宗教を語るレヴィナシアン・ウチダ大家さんと浄土真宗のポジションを明確にしていこうと法話するシャク住職。ますます賑やかなホームページ長屋の『インターネット持仏堂』。話が弾んで、2冊目へ。「その10」から「その17」までと「間狂言3・4」を収録。一部『歎異抄』原文付き。
目次
その10 賢者と愚者の宗教性
その11 「善性」と「邪悪」について
その12 仏教における「悪」―悪人正機/悪人正因
その13 「悪人」論―空中浮揚とアブラハム
その14 宗教と倫理
その15 さらに「宗教と倫理」
その16 常識と宗教
その17 あとがきに代えて
著者等紹介
内田樹[ウチダタツル]
1950年、東京生まれ。東京大学文学部仏文科卒業・東京都立大学大学院博士課程中退。神戸女学院大学文学部総合文化学科教授。専門はフランス現代思想、映画論、武道論
釈徹宗[シャクテッシュウ]
1961年、大阪生まれ。龍谷大学大学院文学研究科真宗学専攻博士課程・大阪府立大学大学院人間文化学研究科比較文化専攻博士課程修了。学術博士。専門は宗教思想、人間学。龍谷大学、相愛大学、帝塚山大学講師。痴呆対応型共同生活介護「むつみ庵」代表。浄土真宗本願寺派如来寺住職
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感想・レビュー
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アオイトリ
25
読メのレビューより)内田樹と釈徹宗の往復書簡。わかったつもりで、体に沁みてこない「他力」の世界に触れてみる。自分の修行や善根功徳ではない、なにも祈らず願わず、欲望を投影せず、ただ喜びと感謝の思いが口からこぼれる…これが他力の念仏だそうな。妙好人について初めて知りました。ちょっと面白そう。2023/05/07
白義
4
後半は宗教の超越性から、日常への帰還、いかによき倫理や常識と宗教性を繋げるかという話しに入ってきます。間狂言で最低限の宗教基礎知識も身に付きますし、体感的な浄土真宗入門としては極めて高水準。ネットでその大半が無料で読めるのもありがたいですね。万人のための宗教知性入門として推薦2011/06/17
塩屋貴之
2
なんとびっくり上下巻。表紙はご存知山本浩二画伯であります。下巻では、「還相回向」とは違うのかな…?、宗教における「日常に還ってくるベクトル」が注目される。これがすごくぼくには有用である。ヘレンケラーの「アンラーン」や「カタギの道に戻る」や「腑に落とす」というような、知を穏当な日常的風景に落ち着ける作法を考える。考え抜いた末に、大回りしてはじめのところに戻ってきたというような「お釈迦様の手のひらの上」的自覚が、真の宗教的知性には要求される。2010/11/17
たそがれ
1
持仏堂2になって議論が少し難しくなりました。その15,17あたり。よくわかんないけど「すごいなあ」ということだけはわかります。「宗教」と「倫理」の関係についての考察は様々な問題を解くカギになるのではと思いました。2014/08/30
Isuke
1
おのれがすでにおのれ以外の何かによって基礎づけられ、それに遅れて到来したという自己意識のありかた。それを私はこの書簡の中で「宗教性」と呼びました。真に知性的であろうとすれば、人間は宗教的にならざるをえない。(161頁、内田樹)2012/01/21