内容説明
「俺は永遠に生き続けるんだ…」強迫観念的に〈永遠の生命〉を希求する男、ハートは、幻の「マヤの書」から死と恐怖の秘密を探り出し、巧妙な情報操作によって全生命の支配と管理を企むが…。古代マヤから現代へ、時空を遙かに超える場面転換、極彩食の幻覚が織りなす万華鏡世界―。バロウズ特有の技法を駆使しながら黙示録的結末へと展開する表題作ほか、ロバート・F・ゲイルのユニークなイラストを含む「言霊の書」、カットアップをはじめとするバロウズ理論の解説書「電子革命」の2編を併録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
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カットアップを映画のモンタージュに転用し、宇宙を再生されるテープと見なした『猛者(ワイルド・ボーイズ)-死者の書』を思わせる「ア・プーク・イズ・ヒア」は、マヤの死神が不死の秘密を握ると信じた男の物語だ。死を生のサイクルの一部とするその考えを文体に高める本作は、物語を作る長期記憶が文単位に刻まれて短期記憶となり、さらに極彩色の感覚記憶へと瞬間化していく世界の中で、各瞬間の中に生と死のサイクルをループさせる。グラフィカルな「言霊の書」、カットアップを紙から電子にメディア変換する方法と捉えた「電子革命」も収録。2020/12/06