内容説明
時代に翻弄された女性と、その家族の試練の日々と心の機微が赤裸に綴られたヒューマンドキュメント。ナチス、戦後はソヴィエト軍と二度にわたる発禁処分を受けつつも、21ヵ国で出版され、多くの読者を魅了し、感銘を与え続けてきた注目書の本邦初訳書。
目次
一九二五年
一九二六年
一九二七年
一九三〇年
著者等紹介
宮内俊至[ミヤウチトシユキ]
1946年東京生まれ。新潟大学教授。現代ドイツ文学専攻
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感想・レビュー
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どんぐり
30
ロシアを追放処分された若い女性が、インテリの夫と4歳になる息子とともに夫の故国オーストリアの首都ウィーンの駅頭に降り立った。このとき一家の所持金はわずか235シリング。当時失業と貧窮に苦しむオーストリアには、ポルシェヴィキから逃れてきた知識人を受け入れる仕事は皆無だった。「ただ生存するためだけの暮らし。これ以上に退屈なこと、絶望的なことがありえるだろうか? でもみんな、みんながここではそうして暮らしている。たった一つのことを考えながら、すなわち、生存すること、飢えて死なないこと」――日中はオーストリ2014/02/15
茶坊主
2
図書館本 2001年の出版だけどほぼ新品状態で閉架書庫入りしてた 第一次大戦後、反ソヴィエト分子として着の身着のままで国を追われ、夫の故国ウィーンで暮らすことになった著者。 不本意ながら食料品店の経営で生活を支える日々を日記につづる。 不慣れで不安に満ちた冒頭から だんだん周囲や商売に慣れ、工夫したり周りを見回す余裕が出てくる様子が生き生きと伝わってくる 細やかな観察から生まれる 様々な顧客とのやりとりや描写も鮮やか。 政治的理由で本国では2度も発禁処分になったとか 知名度が低いのも納得 2022/04/18
M66
1
冒頭、気持ちが暗くなってきて読み滞っていたが、再読し始めたら面白くて面白くて最後まで。日記文学っていいなぁ。日記とか書簡集とかが読み続くと、なかなかフィクションが読み慣れなくなって困る。商売をやめていいってなった時、そこで、”苦労は色々あったけど、いざやめるとなると名残惜しい気もした”、みたいなのが一切なくて、うっそ!やったー!嬉しい!!みたいな一直線なとことか、ノンフィクションならではのリアルさがぞくぞくきて、にやにやした。2011/10/04
七波
1
ソ連に生まれ育った主人公が、夫、息子とともにソ連を永遠に後にし、夫の祖国ウィーンに移住、不況の中生きるために小さな食料雑貨店を営む様子が記録されている。研究職だった書き手が異国の地にて「ミルク売りのおばちゃん」と呼ばれ、客に蔑まれながら、世界を相手に誠実に生き抜く。愛を糧にした魂は気高く、美しい。女性ならではの細かい視点で、時代背景、お国柄などもよくわかる。おすすめの一冊。2010/05/22
ナナミ
0
1927年から1930年の日記。日々のことを細かく書いている。当時の人々の生活がこんなに厳しいものだったと驚きです。とても興味深い。2010/11/21
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- 和書
- 親であること子であること