ロクス・ソルス

レーモン・ルーセル/岡谷公二

ペヨトル工房（1988/11発売）

• サイズ A5判／ページ数 285p／高さ 21cm
• 商品コード 9784893420596

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

[田氏]

まず、夢でも見られないようなシュールな情景が示され、幻想的な種明かしがそれに続く。描写と理由付けの方程式が示したものは、この世界という人里から離れたどこか(ロクス・ソルス)をうみだすレーモン・ルーセルの奇想の、不可思議さ、美しさだった。見せたばかりの手品の種明かしが、かえって幻想を力強く色づけるという、その技法そのものがまた手品のようでもある。説明的な文体は読み手の想像力を試しているようにも感じたけれど、そこから情景をデコードする作業はふしぎと苦には感じず、そうだ読書ってこういうことだよな、という没頭感。

2019/11/04

[春ドーナツ]

題名はラテン語で「人里離れた場所」だそうです。そこに住むカントレル博士が一応の主人公。1914年刊行ということはモダニズムが反映されているかも知れない。100年後に読むとそれは奇書となる（と思う）。本書は江戸川乱歩の「パノラマ島奇談」と「千夜一夜物語」をリミックスして、マトリョーシカ・シスターズを結成したようなダンジョン的作品だ（ほら、奇書っぽいでしょ）。人形を比喩に用いたのは、そう、枠物語だから。博士に「一応」と付けたのはその為です。めくるめく不思議さは経年劣化することがない。新鮮ですらある。凄かった。

2018/05/30

[春の日和]

ペヨトルの本ならではの風格。素晴らしい