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内容説明
つげ義春、林静一、つげ忠男、伊藤重夫、仲佳子、北川由紀子、安部慎一、菅野修、うらたじゅんの作品をめぐって。
目次
つげ義春論―ここではない日常へ
林静一論―水平線の向こうに消えた母へ
つげ忠男論―青春の残像
伊藤重夫論―不在の中心をめぐって
仲佳子論―海の容れ物
北川由紀子論―男女の間の波のない海
安部慎一論―安部慎一の平面性と可能性
菅野修論―不可知への郷愁
うらたじゅん論―メタモルフォーシスの輪舞
著者等紹介
内島すみれ[ウチジマスミレ]
1972年生まれ。ブログ「不可能な人生の修復」や、「誰も読まなくなった評論へ」で文章を書き始める。『幻燈』(北冬書房)で漫画評論を発表する他、インターネットメディア『ASREAD』に宮崎駿のアニメやおおひなたごうの「おやつ」等の論考を発表。甲野酉名義で漫画を描く(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
燃えつきた棒
34
読んでいると、どんどんマンガが読みたくなって来る、マンガへの愛にあふれた本だ。 正直なところ、なまくらな僕にはやや敷居が高い感じもしたが、これからマンガを読んで行く上で羅針盤としたい評論集だ。 ドゥルーズが、映画との「出会い」を「待ち伏せ」したように、マンガとの「出会い」を「待ち伏せ」するために。2020/09/04
しゅん
15
圧縮されたマンガ作品を言語で解凍し開きつつ、同語反復という構造の意味を解こうとする野心を感じた。境界をただ行き来することを、不毛さとは別の次元へ連れていく試み。作品を固定基準で評価するのではなく、かといって可塑的に便利な言葉を扱うのでもなく。作品と作家の生に向かい合うための芯の強さに背筋が伸びる。つげ義春以外の作品を読んでいなかったので、林静一や安部慎一やうらたじゅんや、あるいはガロや幻燈のバックナンバーを買ってみた。一通り読んだら、うまく掴めきれなかった本書の細部を、改めて読み込もうと思う。2022/02/10
まどの一哉
3
ここで取り上げられた作家・作品のほとんどを知っており、また記憶しているので楽しく読むことができた。 巻頭「つげ義春論」の中の「夜が掴む」で主人公の男性を掴みに来る夜が、じつはこの男性自身ではないかとの指摘に気づかされるものがあった。なるほど幻想や妄想は明らかに脳の作用であるならば、それは必ず自身由来のものであって、これこそが螺旋でありトートロジーではあるまいか。人生は常に螺旋的なものではないだろうか。2020/08/14