内容説明
太宰文学の上方文化志向を、一括して論じた。没後40年に問う野心的太宰論。
目次
1 上方文化へのあこがれ(京都と太宰治―阿部合成との親交を視点にして;二羽の鴉―太宰治と阿部合成;上田秋成と太宰治;『雲雀の声』と『パンドラの匣』補遺;無常―長明・実朝・秀吉と大庭葉蔵)
2 太宰治への思いつれづれ(『嘘』における女ごころの倫理と論理;月見草―竹久夢二と太宰治;墓銘碑;空色の人;日記;きょうこの人に―日本の文学と結核)
3 作品の故郷をたずねて(回想御坂峠;伊豆・湯ケ野―川端康成と太宰治;津軽紀行―深浦;続・津軽紀行―『母』と鰺ケ沢)
4 上方文化へのさすらい(民話・伝承と歴史の謎―太宰治の生家・津島家発祥の地名をめぐって;『浦島さん』と太宰治―不老不死の青春文学;『惜別』余談;あまの刈る藻;『犯人』に現われた心象風景―歌舞伎・浄瑠璃と俳諧を視座とした或る分析;『犯人』と堀川―古典を生かすパロディイの名手;太宰治とおけら;太宰治の『津軽』と橘南谿の『東遊記』)
付 太宰治の『津軽』で新説