内容説明
透明で、永遠かと思えるほどの停滞を軽々と飛び越えてしまうあざやかな言葉。『ケータイ短歌空を飛ぶコトバたち…』『あなたの歌に励まされ~歌人・笹井宏之こころの交流』NHKドキュメンタリーで大反響を呼んだ、やさしい言葉。
著者等紹介
笹井宏之[ササイヒロユキ]
1982年8月1日、佐賀県有田町生まれ。2004年短歌を作り始める。2005年第4回歌葉新人賞受賞。2007年未来短歌会入会。未来短歌賞受賞。2008年歌集『ひとさらい』(BookPark)刊行。2009年1月24日インフルエンザによる心臓マヒにて永眠。享年26歳。2011年第二歌集『てんとろり』(書肆侃侃房)刊行(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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masa@レビューお休み中
112
笹井宏之のうたを読んでいると、寺山修司の姿と重ねてしまう。若くして、すでに完成された短歌の形を持っている。しかも、その表現はあり余るほどの才能に包まれているのだ。もはや、ここまでくると妬むとか嫉むとか、そんな気持ちすらでてこない。圧倒されるような美意識と、叙情的な詩のような短歌は有無を言わせず、僕らを陶酔させる。美しいうたというのは、ただ愛でるためだけに存在しているのだということを再確認させられるのだ。2014/08/12
パフちゃん@かのん変更
69
「短歌という短い詩を書いています」と、扉裏に書かれていました。笹井さんの短歌は本当に詩のようです。透明感があって繊細で美しい。この作者がインフルエンザによる心臓マヒの為、26歳で亡くなられていたと知り、呆然とした。そうか、こういう人は神様に愛され過ぎてすぐ手元に呼び戻されてしまうんだな。表題の歌は「えーえんとくちからえーえんとくちから永遠解く力を下さい」最後の方の歌はなんだか死を予感させられるものが多い。「一生に一度ひらくという窓のむこうあなたは靴をそろえる」2016/04/30
kaizen@名古屋de朝活読書会
52
#笹井宏之 #短歌 すこしずつ存在をしてゆきたいね なにかしら尊いものとして #返歌 短歌には存在たくさん残してるとても尊いものと一緒に2016/01/27
はちてん
47
三十一文字(みそひともじ)たったこれだけの中に込めるべき最小限の言葉。言葉の選択は常に目の前の日常から引いているのに一つ一つに気迫がよぎる。かといって力みもせずさらりと投げかけ流す。この歌人が生き続け詠みきった姿を想像していいものか。「小説のなかで平和に暮らしているおじさんをやや折り曲げてみる」「天国につながっている無線機を海へ落としにゆく老婦人」笹井宏之の選択する言葉の鋭さは声を出すか書いてみるとわかる。『やや』であり『ゆく』なのだ。2014/11/07
太田青磁
44
拾ったら手紙のようで開いたらあなたのようでもう見れません・ひまわりの死んでいるのを抱きおこす 季節をひとつ弔うように・美術史をかじったことで青年の味覚におこるやさしい変化・骨盤のゆがみをなおすおかゆです、鮭フレークが降る交差点・左手に携帯電話ひらく朝 誰より早い君のおはよう・単純な和音のままでいましょう、とあなたは朝のひかりの中で・ゆつくりと私は道を踏みはづす金木犀のかをりの中で・大切に仕舞っておいた便箋に文字が生まれてゆくのをみてた・果樹園に風をむすんでいるひとと風をほどいているひとの声2014/10/15