内容説明
小道のおくの小さな家。ひとりぼっちで住むブルーノーは、いっしょにくらしてくれる木の人形を3つ作りました。メイジーとラルフとウィナカーです。人形たちは、もちろんおしゃべりすることはできませんでしたけれども、出窓にすわって、まわりのできごとをじっと見つめつづけていました。なんねんも、なんねんも、なんねんも。森かげの小さな家で。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アキ
63
3体の人形をつくった老人が亡くなった後、朽ちていく家の中で人形は何も言わず自然の中に取り込まれていく。草で覆われ、忘れ去られていた家を、ある家族が住むことに決め、家の中も人形も見違えるように明るくなっていく。娘が部屋にお花を飾り、人形の化粧も施し色も鮮やかに、なんだか人形も嬉しそうに見える。絵本の朗読会で聴いた本。今はもう絶版になった本の森の中から、絵本屋さんが見つけて、音楽で化粧をして、私たちの前に生き返らしてくれた。なんだか絵本も嬉しそうに見える。2020/03/31
天の川
20
〈メメント3・11〉森の奥の小さな家に住む孤独な男がつくった3体の木の人形。窓辺で男を見つめ、過ごす日々。ある日、男は家に戻ってこなかった。植物は侵食し、家を覆いつくす。ほこりが積もり、変色してゆく人形たち。ゆっくりと朽ちてゆく家の中、物言わぬ人形たちの孤独。メメント用に手にした本ではなかった。読んでいくうち、福島の人々の帰れぬ家を想った。帰らぬ主人を待ち続ける家…。本の中の家は長い歳月のあと、1つの家族によって再生される。花と陽光が溢れる庭。人形たちもまた。きっと東北も。私ができることを探そう。2014/03/11
花林糖
13
(図書館本)お話も絵もどちらもとても素晴らしい絵本。アンジェラ・バレットの絵が優しく綺麗。もの凄く好みで手元に置いておきたいけれど絶版なのが残念。(ペーパーバックを購入)(中古入手)2015/08/22
九月猫
13
“私にはそう思えるのです”と、もの言わぬ人形たちの想いをそっと掬い上げるような優しい語り手に手を引かれて森かげの家へ。短いページ数の中に流れる「なんねんも、なんねんも、なんねんも」の時間を人形たちと過ごした私は最後のページで泣いていた。美しい美しい再生の前に、ただ子どものように「よかったね、きれいだね、あたたかいねぇ。またしあわせになってよかったね」と繰り返す。最後まで人形たちは何も語らない。でも、淋しいブルーノが作り上げ、新しい家族が甦らせた彼らにはやはり心が芽生えていたのだと、私にはそう思えるのです。2014/03/20
ゆき
10
絵が綺麗な絵本の良さに、大人になってから改めて気づきました。子どもの頃読んだ絵本はどこにいったかなぁ。2015/05/18