内容説明
太陽と月に導かれて。陽光きらめくメキシコの華やかなリゾート地。米国人ジャズ・ピアニストのリリアンは現地のさまざまな人物たちとの出会いを通して自分の本当の姿と向き合うようになる…旅と音楽をモチーフに色鮮やかに描く珠玉の小説。
著者等紹介
ニン,アナイス[ニン,アナイス][Nin,Ana¨is]
1903年、パリ郊外ヌイイ・シュル・セーヌで生まれ、1977年、ロサンゼルスに没した。1936年に第一創作集『近親相姦の家』を発表。後年、ヘンリー・ミラーとの交遊録を含む六十年以上にわたる膨大な日記の出版で注目を浴びる
大野朝子[オオノアサコ]
1969年、仙台市に生まれる。東北学院大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得満期退学。現在、東北文化学園大学総合政策学部専任講師。専攻、アメリカ文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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新地学@児童書病発動中
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性愛小説家として有名なアイナス・ニンが1958年に発表した自伝的な小説。この小説の中では性的なことはほとんど書かれていないが、美しく濃密な官能的な文体が使われており、読んでいると五感を強く刺激された。主人公の女性リリアンはメキシコに行き、そこで本来の自分を取り戻す。「まるで夢に導かれるように出発する」という書き出しから分かるように、メキシコへの旅は彼女の内面への旅でもある。熱帯の伸びやかでおおらかな人々を描きながら、ニンは欧米の窮屈で干からびた社会やそこに生きる人々を(続きます)2018/03/07
やまはるか
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「ラリーの両親は、彼が生まれるときに、子供など必要ないと思っていた。リリアンはそれがどんな結果つながったのか、考えてみることにした。」こんなふうな説明文が多い。説明文ばかり読んでいると、教科書を読まされるように受け身の読書になっていく。ミノタウロスのトピックも観念的で題名に引くほどの重さを持たない。現代の作品とばかり思って読んだが1958年から長く読み継がれている事実を知って意外な気がした。2018/10/20