内容説明
クック来訪以来のタヒティ社会の変動を、「文明」に寝返って生き延びる語り部テリイと、抵抗する師パオファイを軸に、マオリ人の語る民族の歴史として描いたセガレン初の長編小説。“自己”と“他者”の衝突を生きる新たな“エグゾティスム”の奇蹟。
著者等紹介
木下誠[キノシタマコト]
1956年生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程満期退学。現在、神戸商科大学教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
保山ひャン
2
タヒティを舞台とした物語。主人公テリイは語り部だが、言葉がとんでしまい、それを恥じて追われるように逃げ去る。師と共にした冒険などを経て20年ぶりに戻ってきたタヒティは、キリスト教化が進んでいた。最初テリイはキリスト教の要求をろくでもないものと思っていたが、異端の信仰マーマーイアーを売ってキリスト教内での地位を獲得するなど、すっかり取り込まれてしまう。かつての師の言葉ももはや届かない。後半部での裁判の歯噛みしたくなる思いに熱くなった。タヒティ語満載の儀式や風習を描く前半に慣れた時にはもう失われるなんて!2018/07/15