内容説明
91年、刊行と同時に多大な反響を巻き起こし、いまなお絶大な影響力を与え続ける文化批評の正典、大幅な増補を加えて完全復活。
目次
序章 ひとつではないサイボーグの性―不思議な寓話を
第1章 サイボーグ宣言―1980年代の科学とテクノロジー、そして社会主義フェミニズムについて
第2章 サイボーグ・フェミニズム―読むことの機能について、ダナ・ハラウェイ「サイボーグ宣言」を中心に
第3章 なぜジェンダーを呼びもどすのか?―アン・マキャフリイ『歌う船』を読む
第4章 サイボーグ・フェミニズムの文学
第5章 M・バタフライ、あるいは
著者等紹介
巽孝之[タツミタカユキ]
1955年東京都生まれ。コーネル大学大学院博士課程修了(Ph.D.,1987)。現在、慶応義塾大学文学部教授。アメリカ文学専攻。1992年、『サイボーグ・フェミニズム』(編訳、トレヴィル)で第2回日本翻訳大賞思想部門賞受賞。2001年、『日本SF論争史』(編著、勁草書房)で、第21回日本SF大賞受賞
小谷真理[コタニマリ]
1958年富山県生まれ。SF&ファンタジー評論家。1994年に『女性状無意識』(勁草書房)で第15回日本SF大賞受賞。日本SF作家クラブ、日本ペンクラブ会員
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ハチアカデミー
15
SF小説の傑作『ニューロマンサー』と同時期に発表された、フェミニズムとサイバネティクスが手を結ぶダナ・ハラウェイの「サイボーグ宣言」所収。「機械と生物のハイブリッド」が、これまでの人間/動物という境界や性差の問題を乗り越え、新しい世界観・価値観を生みだす、というアジテーショナルな宣言。「サイボーグ」の問題は、起源神話を破壊する。歴史も文化も人工的な構築物に過ぎず、「科学も自然もすべて言語効果を免れては成り立たない」。その認識が固定化されているかに見える差別を打ち消す。その先に何があるのかを考えさせられる。2015/01/21
Ecriture
8
機械と人間の融合したおぞましきサイボーグに、一神教の原初の起源つきの女性像や父権主義の求める女性像からの解放を見出す。この点ではグラマトロジーに負うものが多い。シリコンバレーでの工業の発展と女性の労働環境の変化に女性の系譜学を読み込み、機械・文化と人は常にアーティファクチュアル(デリダ)に結ばれてきたことを示す。マルクス主義やフェミニズム諸派が単一のユートピアの押し付け合戦になっていたところを調整していくところはラクラウ・ムフの仕事と共通している。神が死んだ後、ようやく女神も後を追って死んでくれた。2014/03/16
noharra
1
かなり感心した。30年経っても古びていない。女性のホームワーク、アジア系女性のサイボーグ化とかも端的な例がこれから現れるかもしれない。 ポストモダン・ラディカリズムはまあべつに敗北してはいないのだ。2018/12/20
MKSzk
0
眼鏡は顔の一部でGoogleは知能の一部という21世紀人からしてみれば、サイボーグが正常であり、非サイボーグが特殊(アーミッシュのように)なのだよなあ。良くも悪くも宣言=政治思想の表明であり、歴史の一部になっているという印象。
poiuy
0
途中で図書館に返却。2014/09/15