内容説明
反時代性と文学性。西欧近代の終焉であった十九世紀―時代=カオスへの埋没に抗し、不安に耐えて『新たなる旅立ちへの可能性』を語り抜いた作品は闇の時代にあって甦える。憩いと調和を愛する小市民的な作家というシュティフターのイメージを一新する画期的な大著。著者の三十数年に及ぶシュティフター研究の集大成。
目次
『喬木林』覚え書
『アプディアス』―魂の絵
『習作集』の中心問題―情熱と運命
『水晶』―贈られた言葉
『森ゆく人』―反復する言葉
『曽祖父の書類綴じ』―生の追履曲
『敬虔な言葉』―反復する誉め歌
『白雲母』―gratia actualisの輝き
『晩夏』論考
『晩夏』―宝石の書〔ほか〕