内容説明
1853年9月、英仏海峡の孤島ジャージー島。ナポレオン3世の迫害を逃れて亡命中のユゴー邸に、死んだ長女の霊が現れた。深く心を動かされた家族とその友人たちは、以後、連日のように、〈彼方の世界〉との交信に没頭する。2年後に、参加者のひとりの発狂によって幕を閉じることになる。この隠されつづけてきたユゴーの降霊会の様相を具体的に再現しながら、ユゴーの文学創造(ひいては文学創造一般)と降霊術との深くかつ根本的な関係を、オカルティズム、スピリチュアリズムの猖獗という時代的文脈とともに鮮やかに描きだした異色の書き下ろし評論。
目次
1 それは、こうして始まった…
2 それは、現在を映す鏡なのか?
3 それは、未来を映す鏡なのか?
4 ほんとうに霊がしゃべるのか?
5 降霊術の本質は何か?
6 テーブルが作品を書く?
7 ユゴーには「ゴースト」ライターがいた?
8 比較文化の視点から