内容説明
ソシュール以後、「言語記号は恣意的である」という命題は異論の余地ないものとして受け入れられている。だが本当にそうなのか?本書では、聖アウグスティヌスと中世のラテン文法家たち、ウォリス、ライプニッツ、ワハターなど17~18世紀の哲学者・文法家を経て、マラルメ、ヴァレリー、プルースト、さらにクローデル、バシュラール、レーリスなどの多彩な思考が描いた〈言語に関する夢想〉の具体例をふんだんに紹介しつつ、言語記号の有縁性について、音声象徴性について、人工言語、言語起源論へと視野を拡げ、《詩》の創造の核心へと至りつく。
目次
1 名の渾名学
2 言葉ノ理由ニツイテ
3 物ノシルシトナル音
4 言語創始者ヘルモゲネス
5 模倣的書記法
6 絵画と派生
7 普遍化された象形文字
8 擬音詩学
9 白い帽子対白い帽子
10 内的屈折
11 砂漠の言語
12 言語の欠陥に対して
13 名の時代
14 作動中の書記言語
15 signe(記号)/singe(猿真似)
16 語の味方
17 夢想の性別
18 制限された音声的模倣
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ひばりん
14
ジュネットの主著はこの本であるとあらためて強調したい。なぜ詩は翻訳不能なのか、言語を発声するということに美が宿るのはなぜか、アルファベットは何を夢みさせるのか。つまりヨーロッパ詩学とは何であるのか。恐ろしく巨大にみえるこれらの問いに、完膚なきまで実証的な答えを与え、(言語起源論とは異なる)言語美学の系譜をソクラテスからソシュールまでの一筋の線で示した。この本でジュネットに随走したのは、(プルーストではなく)マラルメである。ジュネットの他の仕事は『ミモロジック』という美しい夢想を囲む無骨な城壁にすぎない。2021/09/28
kabuki o.
0
長い!2010/09/11
N
0
おもろすぎ2019/07/31