白帝社アジア史選書
王莽―儒家の理想に憑かれた男

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  • サイズ B6判/ページ数 330p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784891746353
  • NDC分類 289.2
  • Cコード C0322

内容説明

前漢王朝を奪うようにして「新」の皇帝となった王莽。その王朝は次の後漢王朝によった負の役割をになわされ、王莽自身も悪者のレッテルを貼られて2000年にわたって非難され続けてきた。しかし王莽ははたして根っからの悪逆非道な簒奪者だったのだろうか。本書は、「聖」をキイワードに、前漢と後漢の狭間を儒家理念の権化のごとく生きたこの男の生涯を克明にたどることによって、その実像を浮かび上がらせる。我が国における初めての本格的な王莽伝。

目次

生い立ちと王氏一族
青春の屈折
大司馬となる
失意の日々
京師への帰還
元后と共に
呂寛事件
宰衡の称号
摂皇帝となる
皇帝位に即く
新王朝の諸政策
匈奴単于の怒り
諸政策の破綻
豪族・民衆の反叛
長安城の落日

著者等紹介

東晋次[ヒガシシンジ]
1944年三重県紀伊長島町に生まれる。名古屋大学大学院文学研究科博士課程満期退学。愛媛大学教育学部講師・助教授を経て、現在、三重大学教育学部教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

富士さん

3
当時の社会情勢が丁寧に描かれており、読みなおすとかなり示唆に富むものでした。儒教が漢社会の覇権を握ったことは、キリスト教がローマの国教となったのと同じ位に重要な出来事のはずです。それは王莽の空気を読まないクソ真面目なパーソナリティーと儒教原理主義的な政治がなければ違った展開を示したはずで、そんな人物の意義が評価されていないというのは異常なことだと思います。政治の私事化を中心とした貴族の発生や禅譲の始まりなど中国史のその後の道具立てがこの時代に現れており、王莽の歴史的な意義は今後ども減ることはないでしょう。2019/02/11

maqiso

2
外戚の一族だった王莽は、儒家的な政治を行いながら摂皇帝に上り、平帝を廃して皇帝となったが、復古的な改革は失敗し反乱によって倒れた。長く続いた漢の支配は限界に来ていたが、儒家の理想も時代とは合わなくなっていたのが面白い。読み物風で、どの資料に基づいているか分からないことがある。2019/11/19

Help me

0
人物主眼系はハズレが多いけども、本書は儒教的国家を目指した王莽政権の意義を軸にして話が述べられていて、単に王莽の一代記の枠にはまらない物となっている。内容は新王朝成立前が過半数で、哀帝期にわりかしページが多く割かれているのが特徴か。中国における儒教国教化の過程についての各説も興味深い。2015/03/28

Teo

0
あまり見る事が出来ない王莽の伝記。王莽と言うと巧言令色にて元后に取り入って出世をし、漢朝を簒奪した挙げ句、儒教の形式にこだわった政治で自滅した、と言うのが定番。それをもっと詳らかに見て王莽が何を考えて生きたのかを考察するのだが、結局の所あまり変わらない様だ。強いて言えば常に名分に囚われていたが故に出世の方式が元后への取り入りとなり、同じ理由で対匈奴戦役に嵌り、同じ理由で内政が混乱したと言えよう。2009/12/01

しめおん

0
学校の教科書でも、建国したと思ったらあっさり殺される王莽。彼の生涯を辿ることで、彼の本質的な失敗や、後世に与えた影響などについて書かれた本である。周の時代への回帰というのが彼の政治の特徴だが、それが儒教に影響されていることを初めて知った。また、前漢末期の社会の矛盾を解決しようとして彼が行った政策が、反対に民を苦しめ、豪族の強化につながった点がなんとも皮肉なものに思えた。2022/02/12

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