内容説明
今年に入り公開されたばかりの「児玉源太郎関係文書」など、従来の研究書が使用できなかった新史料を縦横に駆使して、通説の誤りを指摘・修正。その範囲は陸上作戦の通史にとどまらず、人事・情報・兵站の部門史にまで及ぶ。日露戦争陸戦史の決定版。
目次
第1部 通史編(日露開戦へ―四つのターニング・ポイント;陸海軍の対立―その1・日露開戦直前期の対立;陸軍省と参謀本部の対立―戦時における陸軍省と参謀本部との関係;虚構の勝算―狂ったシナリオ ほか)
第2部 部門史・人物評論編(大本営陸軍参謀部の諜報戦―知られざる諜報の天才誉田甚八の活躍;日露戦争における人事―解任された将軍たち;軍神マルスを養え―知られざる補給戦;日露戦争における二十八サンチ榴弾砲―伝説に彩られた巨砲の実像 ほか)
著者等紹介
長南政義[チョウナンマサヨシ]
戦史研究家。宮城県生まれ。國學院大學法学研究科博士課程前期(法学修士)及び拓殖大学大学院国際協力学研究科安全保障学専攻(安全保障学修士)修了。國學院大學法学研究科博士課程後期単位取得退学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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めっかち
4
日露戦争陸戦史の決定版! 徹底的なまでの実証主義には感服するほかない。長南政義先生には、ぜひとも中公かPHP辺りから新書として日露戦争史を出していただきたい。いやホントにね「ご苦労様」と言いたいですよ、長南先生、それから約1ヶ月掛けて精読した私自身に。なぜ、日露戦争には勝利したのに、大東亜戦争には大敗したか、本書の内容を踏まえ、改めて考えよう。2023/05/17
wuhujiang
2
自分はそこまで日露戦争に興味を持っていなかったので、覆される側の"通説"を良く知らなかったのだが、本書は興味深く読むことができた。本書以前は日露戦争について学術的な研究が進んでいなかったようだ。本書以後も一層研究が進むことを期待したい。"指揮官の性格・状況によって受ける心理的な圧迫によって軍隊の動きは大きく変わる"というのが印象付けられた一冊だった。2024/02/25