内容説明
主要な推論には、演繹と帰納に加えてアブダクションという拡張的推論がある。これらは、単一で使用されると考えられがちだが(純粋―)、推論が威力を発揮するのは、三者が複合的に使用されるときである。特に、アブダクションは、これまで直接観察可能な事実の発見に関する日常の仮説から、化石の地質学的仮説を経て、原理的にも観察不可能な純粋に理論的な対象に関する仮説に到るまで一緒くたに扱われてきた。ところが、科学的探究の過程では、万有法則理論よろしく、アブダクションを中心にそれと演繹と帰納が組み合わされて用いられるのだ。
目次
1 アブダクションの論理学―米盛裕二『アブダクション』に学ぶ(三つの推論;アブダクションの本質と種類)
2 アブダクションの徴候学的用法(推論的範型としての徴候と微分回路;医師の祖ヒポクラテスの徴候学 ほか)
3 アブダクションの記号論的用法―アブダクションから余剰コードへの変換(伝える教育的コミュニケーションと読みとる教育的コミュニケーション;余剰コード化に基づく経験学習の再評価 ほか)
4 科学的探究過程におけるアブダクションの働き(科学的過程の三段階;アブダクションと仮説演繹法の比較考察 ほか)
著者等紹介
中井孝章[ナカイタカアキ]
1958年大阪府生まれ。現在、大阪市立大学生活科学研究科教授。学術博士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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