内容説明
インドの聖地バナーラスには『死を待つ家』がある。人がここを訪れるのは、悪しき世界から離れるためだ。彼らは来世に希望を持つ。死は、誕生への一歩だ。人々の集い寄っているガンジスのほとりを見ると、人間の世界は死から始まるのではないかとさえ思えてきます。さほどにここでは、死が敬われているからです。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アイアイ
12
インド、死を待つ町バナーラスの緑色の建物「死を待つ家」の人々と家族を映した写真集。輪廻を信じる彼らにとって、今の家族は借りの姿、また違う国で同じように豊かに暮らす。と信じるものにとって「死」を静かに見つめる冷静さ、穏やかさが伝わる。なんと安らかな事か▽図書館2015/08/16
フクミミ
4
ここベナレスの「死を待つ家」に横たわる人々はまさに臨終を迎えようとしている人達で、そこには延命の為の機器に繋がれた人は誰一人いない。ただひっそりと枯れて命の尽きるのを待っているだけだ。日常の隣にある死を誰もが受け入れ ている様子がうかがえる。身内の者たちに見守られながら、静かにその時を迎える者たちの表情は穏やかに見える。20年前の発行本だが、今でもこの施設は現存するのだろうか2022/06/14