内容説明
冬のある寒い朝、ひとりの赤ちゃんがカーネーションにくるまれて、警察に届けられた。ビリーと名付けられた赤ちゃんは、孤児院で育てられた。でもビリーは、孤児院でもはみ出しっ子だった。里子に出されても、いつもまた孤児院に送りかえされた。そんなビリーが、メリーおばさんの家だけからは追い出されたくないと思った。その家の近くに荒れ地があり、白鳥やキツネたちと仲よしになり、生まれてはじめてビリーは、愛することの喜びを知ったからだ。でもビリーの愛したキツネたちは町の人に殺されてしまった。一匹だけ残った子ギツネの命を守るため、ビリーと子ギツネの旅がはじまる。どこかにいるビリーの本当のお母さんのやさしい思いのように白鳥はいつもビリーを見守ってくれている。生長した子ギツネは自分のしあわせを求め、野性にかえっていこうとする。子ギツネと別れる日、愛することと愛されることの喜びと悲しみを知ったビリーに、やがてすばらしい幸せが訪れる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ムーミン2号
7
原題は「Little Foxes」、邦題は「子ギツネたちのゆくえ」 最後まで読むとそのタイトルが深い意味を持つことに納得させられる。孤児院で育てられ、幾度も里子となったビリーはその人生10年の内で友達といえる存在はいなかった。加えて吃音である。その彼が心開き、あるきっかけによって吃音が治るのは動物と交流するとき。しかし、助けた子ギツネを守ろうと里親の元を離れ、逃避行を続けた果てに出会ったジョーおじさんに、子ギツネを野性に帰すよう促され、それを実行したときに彼はさらに大きく成長する。良い作品。2020/11/30
Kaoru
0
モーパーゴの力強さを感じた。野生動物を野生動物として描ききっているところがいいと思う。2015/10/17
ヒラP@ehon.gohon
0
モーパーゴの初期の作品ですが、人間愛と問題意識は今の作品につながる基礎をしっかりと感じさせてくれました。 捨て子の赤ん坊につけられた名前はビリー・バンチ。 人の愛情を知らないまま育っていきます。 そのうえ吃音は周りのクラスメイトからも先生からも馬鹿にされます。 そのビリーが心を許せたのは親を失った子白鳥。 その子白鳥が育っていくと、親を失い一人ぼっちになった子ギツネが唯一の友だちとなります。 最後まで読むと、氷のような世界が人の愛情で溶けていくようなお話です。 2012/12/05
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- 和書
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