内容説明
中世文学をそれ以前の文学と別つ大きな特色の一つは、ジャンルの多様性にあるといえるであろう。そしてそれら多くのジャンルにわたって絢爛たる才能を発揮した文学者が鴨長明であった。この多芸多才な作家・歌人の人となりは、誇り高く、激情的で、きわめて傷つきやすい繊細な感性の持主であった。夏目漱石・芥川龍之介・佐藤春夫など、近代作家に長明を愛する人の少なくないのは、故なしとしない。本全集はこの稀有な個性の全文業と関連資料を一冊に結集し、以て中世文学研究の基礎資料として学界に提供し、併せて広く日本文学に関心を有する読書人諸氏に鴨長明の文学の魅力を余すところなく伝えることを目的とするものである。
目次
方丈記
無名抄
発心集
鴨長明集
正治二年第二度百首
鴨長明和歌集成
瑩玉集
鴨長明伊勢記抜書
文字〓
四季物語〔ほか〕
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- 和書
- 心理と情報