出版社内容情報
《内容》 胆膵疾患領域における治療法の開発,進歩には驚嘆すべきものがあり,これらの方法は現在かなりの普及をみるに至っている.さらに前処置の改善,内視鏡自体ならびに処置具の絶えざる開発,改良,加えて内視鏡医の技術の進歩もあって,適応とされる疾患範囲も次第に拡大傾向にある.しかしその一方,この領域では臓器の複雑な解剖学的特性,機能を反映して,治療処置に伴う偶発症の発生は他の消化管領域に比べ頻度も高く,また重大なものが多いのも事実である.しかも適応の拡大,治療の普及とともに偶発症の発生もまた増大傾向にあるのは否めない. 本書では,胆膵内視鏡検査ならびに内視鏡治療を,安全かつ患者に出来るだけ苦痛を与えないように実施するためには,術者としてどのようなことに留意して当たるべきか,実際的,かつ細かい点まで解説していただいた. 《目次》 1.カニュレーションの基本とコツ (1) 前処置,前投薬とモニタリング (2) 安全に行うための手技の実際 スコープ・カニューレ・造影剤の選択/カニュレーションの コツ/カニュレーション困難例に対する工夫/検査時間/ 初心者のトレーニング (3)処置具,機器の洗浄,消毒の注意 (4)治療成績,偶発症とその対策2.ERCPの手技を応用した膵精査法 (1) 膵管の細胞診,生検 (2) 膵液による癌遺伝子診断 (3) 膵管内視鏡 挿入法の実際/偶 発 症/膵管内視鏡所見 (4) ERP-CT 手技の実際/膵管の分岐形態分類3.安全な胆膵内視鏡治療のための精査法-EUS,IDUS (1) EUS,IDUSによる胆膵の検査法 (2) 内視鏡治療からみたEUS,IDUSによる胆道疾患の診断 (3) 内視鏡治療からみたEUS,IDUSによる膵疾患の診断 膵癌/仮性嚢胞/膵石・蛋白栓4.安全にESTを行うために (1) EST施行時の要注意例 一般所見/十二指腸乳頭部,胆道所見/処置状態 (2) EST施行上のポイント ナイフの方向性/切開上縁部の決定/ナイフの張り方/通電時間 (3) ガイドワイヤーチャンネル付きスフィンクテロトーム5.内視鏡的乳頭バルーン拡張術(EPBD) (1) EPBDによる総胆管結石治療のわれわれの成績 総胆管結石除去/早期偶発症とその予防 (2) EPBDによる総胆管結石治療の実際 必要な機材・器具/前処置,モニタリング/手技の実際/ 結石除去のコツ/結石除去後の処置/亜硝酸剤の併用6.採石・砕石術 適応/前処置/使用器具/採石・砕石方法/治療成績/治療 困難例への対応/術後処置/器具の洗浄,消毒/胆嚢結石併存 例への対応/結石の遺残と再発 7.内視鏡および経皮経肝的胆道ドレナージ術 前処置,術中管理/器具/手順/ガイドワイヤーによる狭窄部 の通過/メタルステントを用いた肝門部胆管悪性狭窄のステン ティング/偶発症対策8.経乳頭的胆道ドレナージ術 種類と用語/内視鏡的逆行性胆道ドレナージ(ERBD)の適応/ ERBDの手技/新しい試み/ERBDの実際/偶発症の対策/ 今後の展望9.膵石症に対する内視鏡治療とESWL 適応/治療手技の実際/治療成績10.超音波内視鏡下穿刺術 超音波内視鏡下穿刺術の進歩/対象/現況/GF-UM30Pを用い た超音波内視鏡下穿刺術/安全に行うために11.内視鏡的乳頭切除術 目的/適応/術前検査/乳頭切除術の実際
内容説明
本書は、胆膵内視鏡検査ならびに内視鏡治療を、安全にかつ患者にできるだけ苦痛を与えないように実施するためには、術者としてどのようなことに留意して当たるべきか、実際的、かつ具体的に細かい点まで解説した。本書の内容は、第54回日本消化器内視鏡学会総会(大原毅会長)におけるサテライトシンポジウム「胆膵治療内視鏡術―安全な処置法をめざして」(1997年11月28日)を元にしている。
目次
1 カニュレーションの基本とコツ
2 ERCPの手技を応用した膵精査法
3 安全な胆膵内視鏡治療のための精査法―EUS,IDUS
4 安全にESTを行うために
5 内視鏡的乳頭バルーン拡張術
6 採石・砕石術
7 内視鏡および経皮経肝的胆道ドレナージ術
8 経乳頭的胆道ドレナージ術
9 膵石症に対する内視鏡治療とESWL
10 超音波内視鏡下穿刺術
11 内視鏡的乳頭切除術