内容説明
「地球上で居場所を失う」。裁判所にそう言わせた難民のLifeヒストリー。無国籍で12ヵ国を彷徨い、未来を求めた難民の記録。
目次
第1章 ルーベンさん、来日
第2章 ルーベンさんの生い立ちと境遇
第3章 欧州放浪の旅
第4章 日本での難民申請手続
第5章 ルーベンさんと出会うまで
第6章 再会、そして裁判へ
第7章 一審での審理
第8章 控訴審での審理
第9章 はじまりの判決
著者等紹介
小田川綾音[オダガワアヤネ]
弁護士。1981年生まれ。神奈川県出身。早稲田大学法学部卒、神奈川大学法科大学院修了。弁護士として、民事・家事全般、企業法務、在留資格・帰化など入管・国籍関連の法務に幅広く対応するほか、難民や無国籍者の支援に携わっている。現在、日本弁護士連合会人権擁護委員会 難民国籍特別部会 副部会長。第一東京弁護士会、いずみ橋法律事務所所属(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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しぇりー
3
2020年1月29日、難民問題に関心のある者にとって画期的な判決が出た。無国籍で27年もの間12か国をさまよい、来日してからも10年、入管と裁判所の却下を3回も経たルーベンさんが難民認定された。これは高等裁判所に「退去強制命令を出すと地球上で行き場を失う」と言わしめた彼の過酷な人生と小田川弁護士の闘いの記録である。 約10年も前の話だが、私は彼を直接知っていて話したこともある。ルーベンさん、もう会うことはないと思うけれど、少しでも関わった者として心からあなたの日本での幸せを祈ります。どうかお達者で。2025/07/07
euri
1
難民支援協会のサポーターを続けていますが、ボランティアなどで実際に活動に関わる機会はなく、よりリアルな状況を知ることができたらと思い手に取りました。 物語調なのでとても読みやすく引き込まれて一気読みしました。 長年居場所も生きるすべも失い絶望的な状況の中、それでも諦めずに居場所を求めるルーベンさんの辛さは想像してもしきれません。良い判決が出て本当に良かったと思うと共に、なぜこんなに難民認定のハードルが高いのか、暗い気持ちになります。ルーベンさんおよび支援をされた著者の方、支援者の方々に心から敬意を表します2025/08/03
Sachiko
1
1993年に25歳でグルジアを出て無国籍で12か国をさまよい、どこの国でも受け入れられず、2010年に来日したルーベンさんは2020年に東京高裁で国の難民不認定処分が取り消され、日本で在留資格を得た。 この本は裁判を担当した小田川弁護士の著作だ。なぜこんなに身を削ってやらなければ一人の人の在留資格を得ることができないのか、帰れない国にどういうつもりで帰れと言うのか、日本政府の難民政策に怒りを感じた。 読みやすいし、難民のための裁判の様子を知ることができる。控訴審での小田川さんの陳述記録には感動した。2025/05/30