出版社内容情報
空爆の最中、この絵は生まれたのです
この本の中の一枚の絵を、言葉にしてみてください。たとえば、透明の翼をもつ人が、高台の上に立って、彼の影が高台からはみ出て鳥になる。(中略)その中には、小さな猫がいる。話は絵よりも不思議。(絵によせて)
目次
手と手と手(虹のお家;お婆さんと大きな樹;お父さんを返してよ ほか)
大きな瞳(階段の上の子供のために;長くて曲がりくねった道;石の話 ほか)
積み木と人形(いきなくてはならない;姉の胸のなかに;森の話 ほか)
著者等紹介
山崎佳代子[ヤマサキカヨコ]
1956年生まれ、静岡市に育つ。ベオグラード在住。著作に『ベオグラード日誌』(2014・書肆山田/読売文学賞受賞)などがある
山崎光[ヤマサキヒカル]
1986年、ベオグラードに生まれる。ベオグラード大学哲学部教育学科卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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キクチカ いいわけなんぞ、ござんせん
24
セルビア内戦中の子ども達の証言集。当時セルビアにいた著者の息子12歳が描いた絵も掲載されている。逃げる人々。孤立した村々。ちょっと状況がわかりにくいところもあるが、目にしたまま聞いたままそのままを文章にしたのだろう。2017/06/16
かもめ通信
19
この本はベオグラード在住の詩人山崎佳代子さんが、仲間と共に難民センターを訪ね聞き取った人々の話をまとめたものと、1999年ユーゴスラビア空爆当時12歳だった息子の光さんがその期間に描きためた何枚もの不思議な絵と、詩人が隣人たちから聞き取った第二次世界大戦の頃の体験談とで構成されている。憎むのでも否むのでもなく、負の連鎖を重ねるのでもなく、誰もが人として大切にされるためにはどうしたらいいのだろうか。過去と現在とこれから起こるかもしれないあれこれを思い浮かべながら、本を閉じた後も考え続けている。2017/03/06
ツキノ
9
ベオグラード在住の著者が戦争で故郷を失った子どもから聞いた話を書き留めたもの。爆撃下のベオグラードの街や各地の難民センターに難民支援グループのメンバーと出向いて。第二次世界大戦中ナチスの強制収容所に入れられ生き延びた人、1995年の「嵐の作戦」で難民となったセルビア系自由民などの「声」。教科書や歴史ではわからない「その人」の経験。ことばにならない。1998年3月24日から78日間続いたセルビア・モンテネグロに対するNATOの空爆下で描かれた絵が添えられている。2016/01/09
relaxopenenjoy
6
ユーゴの内戦で難民となった老若男女聞き書き他に、著者息子さんの絵。多民族国家ユーゴ内戦は本当に複雑でなかなか理解が出来ないが、証明書上の民族の違いだけで、平和に暮らしていた隣人同士、殺し合ったり、住む場所を追われたり。内戦はやはり辛い。2023/07/19
nranjen
3
まず、すごい絵だ。パワーに圧倒させられる。戦争の話は、本当に酷いのだけれども、それを受け入れ生きていかなければならない人たちの寡黙な生きる力を、淡々と語る、その姿勢から感じられた気がする。それだけその酷さが浮き彫りになるのだけれど。2018/01/30