内容説明
今世紀最大の詩人による、もっとも洗練、もっとも高度に昇華された韻文劇。ケルト伝説の美女デァドラ像の中にイェイツ自身の女性観を見る。世界の恋愛文学の最高峰。リズムよく、自然にこなれた日本語訳。舞台での上演が切望される。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
antoinette
10
トリスタンとイゾルデにも似た、ニーシャとデァドラの伝説の終局部分のみを戯曲化した陰々滅々たる物語。(←陰々滅々って初めて使う)決して単純に好きとはいえないのに、読むのはもう3度目だ。登場する男全員の愚かさがとにかく絶望的なのだが、男性作家の種族的自虐描写もここまで徹底されているのは珍しいような。覚悟を決めたデァドラの、悲愴な怜悧さとの対比――どころか、コミュニケーション不能な断絶。脇役の3人の楽士(♀)の現実的な忠言にも、ニーシャもファーガスもバカすぎて耳を貸さない。トリスタンとイゾルデもそうだが、(続く2017/07/07
p.p.
3
デァドラとウシュナの息子たちに関するアイルランドの伝説を題材としたイェイツの劇の邦訳。解説では、劇が伝説の終盤から始まり、ウシュナの息子たちのうち主となるニーシュのみが登場するなど、他の再話と比べて目立つ特徴に至る経緯や、イェイツが材を取った写本・再話などの説明があり、秀逸。2013/01/08
葛
0
1999年12月10日 初版第1刷発行 W.B.イェイツ 三宅忠明訳 発行者:佐藤正男 発行所:株式会社大学教育出版 印刷所:原多印刷(株) 製本所:平田製本(株) 装丁:ティー・ボーンデザイン事務所 デァドラ精選シリーズ7 表紙肖像画:ジョン・レイバリー 文部省1998年度科研費出版助成企画より一部訳出企画 編集部長:佐藤守 協力:岡山ケルト文化研究会2019/10/09