内容説明
現代の「知の巨人」エーコが、絵画や彫刻、映画、文学など諸芸術における暗黒、怪奇、魔物、逸脱、異形といった、恐ろしくぞっとするものを徹底的に探究。本書は、世界的に好評を博した『美の歴史』の手法により、「醜」の多様性と傾向を明らかにする。なぜ我々は死、病、欠陥を恐れるのだろうか?はたまた醜さが持つ磁石のような魅力はいったい何に由来するのだろう。ミルトンのサタンから、ゲーテのメフィストフェレスまで、魔術と中世の拷問から、殉教、隠者まで、神話上の怪物から、夢魔、食人鬼、デカダンス、あるいはキャンプ、キッチュ、パンク、さらには現代美術まで、実に興味深い構成とトピックにより議論が展開される。
目次
古典世界の醜
受難、死、殉教
黙示録、地獄、悪魔
モンスター(怪物)とポルテント(予兆)
醜悪なもの、滑稽なもの、猥褻なもの
古代からバロック時代までの女性の醜さ
近代世界の悪魔
魔女信仰、悪魔崇拝、サディズム
フィジカ・クリオーサ(肉体への好奇心)
ロマン主義による醜の解放
不気味なもの
鉄の塔と象牙の塔
アヴァンギャルドと醜の勝利
他者の醜、キッチェ、
キャンプ
現代の醜
著者等紹介
エーコ,ウンベルト[エーコ,ウンベルト][Eco,Umberto]
1932年、イタリアのアレッサンドリア生まれ。哲学者、言語学者、小説家。トリノ大学で哲学・中世美学を学び、卒業後はイタリア放送協会で文化番組のプロデューサーとして勤務。その後ミラノ大学、フィレンツェ大学で記号論を講じ、ボローニャ大学では人文科学部長を務めた。世界的ベストセラーとなった『薔薇の名前』など小説のほか、記号論・哲学分野で重要な著作がある
川野美也子[カワノミヤコ]
学習院大学文学部史学科博士課程満期退了。イタリア・ルネサンス文化史専攻。1990‐1994年、イタリア政府奨学金留学生としてフィレンツェ大学、ミラノ大学に学ぶ。元学習院大学非常勤講師。現在、エコールプランタンで美術史や比較文化(オペラと歌舞伎など)の講座を担当(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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