内容説明
「防止措置」による重層的ガヴァナンスの追究。国連憲章が内包する集団安全保障の中核は、もっぱら注目を集めている7章41条以下の「強制措置」ではなく、40条が標榜する「防止措置」にある。武力発動等大事に至った「強制措置」はすでに「失敗した防止措置」なのだ―安保理一辺倒を超えた国連総会の再評価と併せ、前身をなす連盟規約11条以来、多くの紛争処理にその有用性を発揮してきた「防祉措置」の見直しを通じ、重層的なグローバル・ガヴァナンスの構築を追究した力作。
目次
序章 集団安全保障と防止措置
第1章 国際連盟期における防止措置
第2章 国際連合発足当初の防止措置
第3章 国連総会による防止措置の実行
第4章 安全保障理事会によるPKFの実行
第5章 集団的介入と防止措置
第6章 国連総会の再評価
第7章 国連安保理の権限行使に対する司法審査の需要と供給―法の支配における司法審査の位置付けを探って
第8章 武力紛争防止法における「尊守責任(Responsibility to Protect)」概念の役割
第9章 安全保障の重層的ガヴァナンス