「夢追い」型進路形成の功罪―高校改革の社会学

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  • サイズ A5判/ページ数 200p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784887138889
  • NDC分類 375.2
  • Cコード C3037

内容説明

従来の偏差値一辺倒の進路指導・形成を是正すべく、生徒の多様な「将来の夢」を重視した多元的・選択的キャリア教育が、今欠陥を露わにしつつある。依然大学入試本位に特化したままの偏差値上位校と、ASUC職業に憧れる生徒の「夢追い」に任せ、基礎学力低下を顧みない偏差値下位校―本書におけるフィールドワークが示すこの学習・進路形成の分断化が、生徒の将来にもたらすものは明らかだ。新たな高校格差の実態分析を通じ、わが国の将来に警鐘を鳴らす一冊。

目次

冷却・加熱モデルの変容
第1部 高校教育改革と新たな冷却・加熱メカニズム(学習指導の分断化―X県・Y県の事例;生徒の進路形成の分断化とクーリングアウトの制度化―X県・Y県の事例;高校教育改革と学習指導・進路指導の分断化―Z県の事例;生徒の夢とASUC職業―Z県の事例)
第2部 改革の最先端―総合選択制高校・総合学科の実像(大学入試に特化した進路指導・科目選択指導―A高校の事例;大学入試に向けた進路指導・科目選択指導―B高校の事例;「夢追い」を重視する進路指導・科目選択指導―C高校の事例;3校の生徒の将来展望)

著者等紹介

荒川葉[アラカワヨウ]
お茶の水女子大学大学院人間文化創成科学研究科研究員・明治大学文学部兼任講師・東洋英和女学院大学文学部兼任講師。専門は教育社会学。日本学術振興会特別研究院(PP)、専修大学文学部兼任講師を経て現職。博士(学術)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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苦虫

1
総合高校を扱った教育社会学のお話。この観点はなかなかなくて、総合高校出身で夢追い型教育に疑問をもっていた私としてはとても興味深かったです。だってまぁまぁ頭が良い子が「グローバルになる」って言って卒業後ニートになっちゃうんだよ?総合高校進学校では冷却が、そうでない所は夢追い加熱で放置らしい、なるほど。でもね、とりあえず大学行けって進路指導は正しいと思うの。就活で夢なんて叶わないと気づくのだから。聞き取りも面白いけど、何よりクロス表が美しかったです。そして、彼らの卒業後それからをもっと追って欲しい。2013/05/10

Toshiyuki S.

1
傾斜的選抜・層別競争の規範から逸脱した進路形成のプロセスに、実証的な検討を加えた学術書。豊かな社会の到来と高卒労働市場の縮小により、かつてのように高校生を職業達成をめぐる正規のルートに引き付けておくことが困難になった。また、学校でも多様化・個性化を指導の中心に据える流れが立ち現れた。そのような中、成績中・下位の“教育改革実施校”ではメリトクラシーから離脱した「夢追い」型の進路選択が台頭している。冷却メカニズムの変容により、高校生の間で獲得資源の2極化が起きる可能性があると筆者は指摘する。2013/01/08

はしも

0
バブル崩壊後の不透明化する社会、良くも悪くも生徒の人生に介入できる幅が狭まった高校の進路指導などの複合的な要因によってフリーターを増やしている?2018/07/11

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