内容説明
自己批判の限界を暴くのは常に「他者」の容赦ない視線だ。西欧の外部における旧植民地、また国内で収奪・差別されてきた「内部植民地」―これら「他者」の深層から発する思考をよそに、社会科学が目的とする世界の総体把握はあり得ない。初期の理論的論考を元に現代欧米における近代批判の思想を相対化し、新たな地球社会の構築をめざすポストコロニアリズムの意義を、今日の日本社会の在り方とともに追求・考察した、著者の新思考。
目次
1 ポストコロニアルな地球市民の社会学(社会をとらえる;ポストコロニアルとは?;新帝国か。地球市民社会か?;まず日本市民になる)
2 “火の鳥”を追って
3 人間における思考と思想(現代の思想的課題;人間の、思考と思想の現状況;人間的思考の論理的原形;実践的思考の論理と課題;思想の科学;思想史;社会的実践;今後の課題)
4 社会的人間の思考と思想(「現代」の思想的課題;社会的人間の思考の原理;思想の科学の構想)
5 社会学の射程(相互思想(コミュニケーション)状況へ
総合の精神から構造と主体のポストコロニアルな媒介へ
社会の共同性・階層性・システム性を生態系に定礎しなおす)
著者等紹介
庄司興吉[ショウジコウキチ]
清泉女子大学教授。博士(社会学)。1942年生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程社会学Aコース単位取得退学、法政大学社会学部助教授、東京大学文学部助教授、同教授(社会学部第一講座)、東京大学大学院社会学研究科教授(社会学専攻)をへて現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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