内容説明
現在国際法学が抱える問題点を鋭く意識し、多岐にわたる根幹的課題群に全力で肉迫したアップ・トゥ・デートな考察の集積。大沼保昭教授の40年に及ぶ営為の広がりと深みを反映し、直接・間接に同教授の薫陶を受けた25名の専門研究者を結集した、最先端研究論集。
目次
第1部 文明、正義、理論(大沼保昭の「文際的視点」について;国際法認識をめぐって―世界を「翻訳」する国際法;グローバルな正義はいかにして可能か;「国際法学の国内モデル思考」批判の射程;国際法学における「国内モデル思考」「裁判中心的思考」批判と国際組織―国際法学における「国際組織」分析の方法論をめぐって;国際義務の多様性―対世的義務を中心に)
第2部 歴史(中世キリスト教神学における正戦論の非国家的性格について―誰の戦い(bellum)を正当化するものなのか
朝中商民水陸貿易章程についての素描―東アジアにおける国際法の受容と朝鮮の国際法的地位の観点から
J.L.ブライアリの戦時国際法論
ダン・オコーネルにおける国際法の基礎理論)
第3部 人権(排除された人々と国際法―世界化する民主主義に対し、人権には何が可能か;「人間」の終焉―国際法における再びの19世紀;国際人権法の国内規範性とその影響―「国際人権の論理と国内人権の論理」批判;国際人権と国内人権:女性差別撤廃条約の国内的適用;日本に対する戦後補償運動の経緯と展望)
第4部 経済、労働、環境(国際経済法の実現における私人・私企業の「関与」―WTO紛争解決手続と紛争投資仲裁を中心に;国際債務問題と国際法;労働CSRと国際労働立法;多国間環境条約の執行確保と複数の条約間の調整―「ダニューブ・デルタ事件」の分析を中心に;国際法における海洋保護区の意義)
第5部 紛争解決、国際裁判、戦争責任(紛争の平和的解決と対抗措置の行使に関する一考察―紛争の平和的解決手続の「前置」をめぐる問題を中心として;国際裁判と途上国の受諾・利用―その文化的意義を適切に捉えるために;国際司法裁判所の紛争解決機能に関する一試論;国家行為面積の理論―ニュルンベルクと現在;大沼保昭『三相責任論序説』:そのアンソロジー的書評)
著者等紹介
中川淳司[ナカガワジュンジ]
東京大学社会科学研究所教授。東京大学法学部卒業、同大学院博士課程修了
寺谷広司[テラヤコウジ]
東京大学大学院法学政治学研究科准教授。東京大学法学部卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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