内容説明
「社会科学が関わるのは人間存在そのものなのか、それとも彼の社会的行動の諸形態だけなのか。」後者を自明とする社会学における「社会学主義」を排し、「社会学の哲学的基礎づけ」を終生課題とし続けたシュッツの取り組みは、決して社会学への既成の哲学の一方的適用ではなく、それ自体が新たな学問的感受性を呼び覚ますという独自性に貫かれていた。事実学と本質学の中間領域としての「日常」を発見し探究するシュッツの哲学的かつ社会学的営為を精細に分析・考察した労作。
目次
序章 社会学の哲学的基礎づけとシュッツの書かれざる哲学―日常・中間領域という審級
第1章 超越論的現象学と社会学の哲学的基礎づけ
第2章 方法論から日常世界論へ―渡米後のシュッツにおける社会学と現象学の相互浸透
第3章 日常の中へ―シュッツにおける「超越論的」動機と日常の存立機制
第4章 「近代」とミードの自我論
第5章 ミードにおける他者
終章 日常という主題の存在論的深化に向けて―行動から存在へ
著者等紹介
李晟台[リセイダイ]
現在の役職、日本学術振興会外国人特別研究員(名古屋大学大学院環境学研究科)。1993年3月東京大学大学院人文社会系研究科博士課程満期退学。1997年7月社会学博士号取得(東京大学大学院)。Moravian College社会学研究科客員教授(フルブライト財団の研究・教育助成による)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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