内容説明
日本の開発援助は従来のカネ、モノ偏重を脱皮しなければならない。明治以降、日本が近代化への苦闘に際して積み重ねてきた多様な開発経験こそが、今日の途上国への最大の贈り物ではないか。本書は、日本の教育開発経験を、量的拡大、質的向上、マネジメントの改善の三つの視点から総括し、かつ個々の経験の途上国への応用可能性をつぶさに吟味した、日本教育の新たな発信である。特にわが国の内外で諸外国との教育協力に当たる関係者の必読・必携の書といえよう。
目次
開発途上国の教育課題
第1部 日本の教育史の概観(日本の近代化と教育の発展)
第2部 日本の教育経験(教育行政;教育財政;学校経営;明治時代の就学促進策―地方の取り組みを中心に;女子教育 ほか)
第3部 開発途上国における日本の教育経験の応用に向けて
付録(年表:日本の教育の変遷;教育統計)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Seita
1
現在途上国の就学率は上がっているが、進級試験に合格できない児童も多く、留年率は依然として高い。ところで、途上国はなぜ進級試験を行うのか。本書第9章はこの問いへの参考のために日本の教育の歴史を振り返る。「端的にいうなら、厳格な進級試験を頻繁に繰り返すことは、学校や教員の仕事ぶりに対する不信感・不安感を前提としていたといえるかもしれない」。しかし日本は途中で進級試験を廃止した。「それを可能にしたのは教育諸条件の整備であり、特に教員たちの専門職としての職業意識(professionalism)の前進であった」。2018/04/18
tiki
0
日本の教育についての基礎的情報。サブタイトルのように「途上国の教育開発」について深く考察されている本ではない。2010/02/21