内容説明
近代理性を最高度に駆使したスピノザの倫理体系は、裏口でサドの道徳の根底的破壊へ大きく開け放たれている。その接点となる堕天使の倫理すなわち知性の独走と、それと連接する倫理的利己主義がもたらす明と暗を歩み切ることなくしては、近代における悪の問題の超克はあり得ない。
目次
天使の堕落―トマス・アクィナスと知性の自律
第1部 合理主義の体系とスピノザ(言語・経験・表象知―スピノザ知識論の根底にあるもの;魂の不死―全時間性と個体性;精神と観念;完全性と道徳性―スピノザの弁神論)
第2部 スピノザの倫理学とサドの背徳主義(スピノザと反宗教思想―『三人の山師論』を中心に;スピノザとサド―利己主義と背徳主義の間で;背徳主義と倒錯の論理―サドの世界はこうして生まれる;悪の問題とサドの哲学―宿命論との対決を経て)
利己主義は背徳か―合理的な倫理の基礎づけ
著者等紹介
佐藤拓司[サトウタクジ]
1968年北海道に生まれる。1991年岩手大学人文社会科学部卒業。2002年北海道大学大学院文学研究科哲学専攻博士後期課程修了。博士(文学)。現在、青山学院大学非常勤講師。専攻、西洋近世哲学、倫理学、応用倫理学
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。