内容説明
本書は、「価値構造」をキーワードに、近代化の過程で変貌した国土空間の意味について考察し、国土政策と環境政策の根底にある価値の問題について考察したものである。
目次
第1章 方法としての価値構造
第2章 国土再編における「廃絶」と「保存」の論理
第3章 自然保護の思想と実践
第4章 「国土の均衡ある発展」の理念
第5章 都市政策と緑化幻想
第6章 風景の多元的価値解釈の枠組み
第7章 環境行政と風土
第8章 環境情報と感性的価値判断
第9章 ミクロなレベルで見た環境
第10章 環境問題と新しい倫理の視点
あとがきに代えて―21世紀の価値構造を展望する
著者等紹介
桑子敏雄[クワコトシオ]
東京工業大学大学院社会理工学研究科教授、博士(文学)。1951年群馬県生まれ。東京大学大学院人文科学研究科哲学専修博士課程修了
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感想・レビュー
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うえ
9
「倫理の研究と、知的資源としての倫理思想との研究は明確に区別されるべきである。…倫理思想の研究に従事するのと、激動する表層的価値の研究を行うのとでは、データそのものの取り扱いが異なる…毎日流れる大量の情報から価値の問題をピックアップするための能力が必要とされるが、倫理思想の研究ばかり従事していると、このようなまったく異なった情報源からの情報を得ることは、その入手方法にも習熟せず、また、論じ方にも疎いために、取り扱うことができない。じっさいこのような方面の研究の方法は、日本では論じられることがほとんどない」2022/02/06