出版社内容情報
19世紀後半世界経済の枠組みの中での日本の金融・貨幣制度の整備と外資導入を伴うその後の経済成長・発展について、海外史料を駆使して考察。特に従来見落とされてきた日英同盟の金融的背景の解明は出色(原文日本語)
『金融財政』2005年12月19日号書評より
前略....本書は,幕末開港から第二次大戦開戦時までのわが国における外資導入を歴史的に解明し,それが日本経済の発展にどのような役割を果たしたかを論じている。また,それに関連して,わが国の通貨金融制度,特に金本位制度の確立についても検討が行われる。著者は英国人であるが,本書は日本語で執筆されている。著者は内外の驚くほど多くの文献を渉猟しているが,英国人であるが故に,特に英国側の文献を多用している点に特徴がある。中略....著者は,日本経済は第二次大戦で廃墟と化したが,だからといって敗戦に至るまでの研究を進めることに意味がない,との見解を否定する。「日本経済史の研究者は,戦前のことにフタをしてしまうのでなく,むしろここに至るまでの過去の分析を通じて,現在の状況を考察することこそ重要な使命」と主張する。外国人の目から見た日本経済史として一読を勧めたい。
目次
第1部 日本における金本位制の確立(明治期における金融および貨幣制度の改革;明治期の世界各国における貨幣制度改革への日本の対応;明治期における経済の成長および発展と金本位制の意義;補論―シャムにおける金本位制の採用:1855‐1939年)
第2部 日本経済と英国資本:1897‐1923年
第3部 日本経済と外国資本:1858‐1939年(公債の発行;地方債(市債)の発行
社債の発行
直接投資と合弁事業
日本経済の成長および発展と外国資本の役割)
著者等紹介
バイスウェイ,サイモン・ジェイムス[バイスウェイ,サイモンジェイムス][Bytheway,Simon James]
1969年イギリスのマンスフィールドに生まれる。1972年西オーストラリアのパースへ移民する。1992年カーティン大学(Curtin University)人間科学学部入学、日本語の勉強を始める。1994年カーティン大学人間科学学部卒業。1996年カーティン大学大学院(Honours,First Class)卒業。1996年日本政府(文部科学省)研究奨学金を与えられ、国費留学生として来日、東北大学日本語研修コース修了。1999年東北学院大学大学院経済学研究科博士課程前期修了(修士(経済学))。2002年東北学院大学大学院経済学研究科博士課程後期修了(博士(経済学))。2003年日本大学商学部専任講師就任。日本経済史を専攻、「20世紀前半における日英米中央銀行の関係史」、「極東(東アジア)における条約港と国際関係」などをテーマとして研究を進めている
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