出版社内容情報
第18回(1994)マルコ・ポーロ賞受賞;ヨーロッパで最も古い共和国の14~16世紀の政治・経済・文化を立体的に記述し,史料の裏付けとするどい問題意識を,流麗な文章で表現している。貴族から市民階級へ,人文主義から歴史意識の成熟へ,都市国家の発展は興味つきない
内容説明
本書はヴェネツィア貴族階級を中核として、第一にいかにしてこの階級が成立したか(十四世紀)、また貴族階級とルネサンス人文主義との関係はどのようなものであったか(十五世紀)、十六世紀の貴族階級と諸文化とのかかわりをくわしく紹介し、更には彼らの意識が時代とともに変質してヴェネツィア共和国の衰退とともに下降の運命を辿っていった次第を述べようとしたものである。
目次
第1章 ヴェネツィア貴族階級の確立と意識の変化
第2章 ヴェネツィア人文主義と貴族階級―バルバロ家の二人
第3章 カンブレー同盟戦争と貴族階級の意識―ガスパロ・コンタリーニの思想
第4章 一貴族の苦渋―マリン・サヌートの『日記』と政治生活の挫折
第5章 反逆の文化と貴族階級―1530~60年の社会と文化
第6章 ヴェネツィア歴史記述の展開と貴族階級の危機
第7章 ヴェネツィア貴族階級の衰退