内容説明
気鋭の韓国人女性作家が描く、金子文子の峻烈な愛と闘いの物語。
著者等紹介
キムビョラ[キムビョラ]
1969年生まれ。延世大学国語国文科卒業。1993年、中編小説『閉ざされた門の外に吹く風の音』でデビュー。2005年、長編小説『ミシル―新羅後宮物語』(早川書房、2007年)で第1回世界文学賞受賞
後藤守彦[ゴトウモリヒコ]
1945年生まれ。東北大学文学部卒業。日本民主主義文学会会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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lily
127
泣いた。美しき愛と深い根の木のような生命力に。時代や制度と対立した結果だけをみるならば、敗北だっただろう。しかし、最後まで戦った思想は100年経とうと生き残る。朴烈を知る為にも本書は絶対外せない。映画だけに満足してはいけない。2020/01/18
フム
13
心を激しく揺さぶる本。途中息苦しくなって、何度か本を閉じた。家族から冷たく捨てられ、無籍者として虐待と貧困の中で育った文子。そして日本の植民地下で言葉も財産も奪われ苦難の中で思想と行動に生きる朴烈。そんなあらゆる苦難を経験した二人の孤独な魂が共鳴することは、運命と言うしかない。投獄された二人が、離れてなおお互いを深く信頼し愛を深めていく物語に感動した。金子文子と朴烈を描いた映画が、この2月に公開されるという、ぜひ鑑賞したい。2019/01/24
jamko
9
来月公開の『金子綾子と朴烈』を楽しみにしていたところ読友さんの感想でこの小説を知り即購入。朝鮮人アナキストである朴烈と彼を愛し志を共にした金子文子の、国や社会や家族に踏みにじられた人生。絶望的な孤独をそれぞれに経験したゆえの二人の恋についうっとりしてしまうが、国によって息を止められた二人の生を私たちは知らなければならないだろうと思う。目を覆いたくなるような関東大震災後の朝鮮人虐殺事件についても。ちなみに本作で初読みでしたが作家さん上手いと思う。他の作品も読んでみたいな。