内容説明
惨殺行為にエクスタシーを感じる男。彼の愉しみのためまた一つ死体が増える。即刻死刑を望む犠牲者の家族、生かしたまま脳を調べたい研究者。この背反の上に判決はどう下るのか。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やっさん
16
元いた自治体の図書館には所蔵されていなくて探書リストから外していたのだが、今住んでいるところの図書館ネットワークにあったので借りて読んでみた。連続殺人犯、快楽殺人犯に興味があって(願望はない)類書は何冊か読んでいるが、「ソ連にも連続殺人犯がいたんだ~」くらいの興味だった本。ソ連という都合の悪いことに蓋をする文化、ずさんな捜査、ある程度抑制的な人物、運(被害者にとっては悪運)…などの複数の要因が重なって自称55人、立証されたもので53人の少年少女、女性の命を奪った殺人鬼の公判までのルポ。そんなにバレんもんか2021/08/18
HARD SEVEN
4
チカチーロのおぞましさは被害者に恐怖を与え支配(殺害)することに快楽を見出していた点だ。現代の科学捜査を持ってすればその犯行は衝動的犯行の範疇なのだろうけれど、単純に性的趣向や狂気に偏執し溺れたといえないほど、理性的計画的に目的を達成している。反逆の恐れがほぼなく、屈服させるに容易い未熟な子どもや女性を念入りに選び、痛苦と恐怖で支配し徹底的にその尊厳を奪い尽くす。己の快楽のためだけに。2016/07/07
宵子
3
ロシア(ソ連)に起きた50人以上を惨殺したチカチーロについてのルポ。彼は決して無能な人間ではなかったから、運が悪かったといえばそうなのかもしれない。しかし、現実から逃げ続け全て人のせいにし続けた結果、このような悲惨な事件が起きたのだろう。誇大妄想の気があり、それがサディズムと結び付いた。しかし、何でこんなに沢山の善良そうな子供が騙されたのかという理由が、「ソ連には凶悪な犯罪者はいない」という建前を信じていたから、というのもなぁ(;´д`)現実見てないってのでは、当時の政治も同様だったのかもしれない。2013/06/02
-
- 電子書籍
- ドラえもん デジタルカラー版(91)