出版社内容情報
私たちの近代社会は,自然と女性と第三世界の搾取の上に成り立ってきた。〈脱近代主義フェミニズム〉を掲げ反響を呼んだ旧版に「『生殖革命』と身体のエコロジー」を追補!
内容説明
環境破壊=女性差別=第三世界問題。今こそ、エコ・フェミニズム。〈脱近代主義フェミニズム〉を掲げ好評を博した旧版に「『生殖革命』と身体のエコロジー」(第5章)を追補。
目次
序 いまなぜフェミニズムか―フェミニズムから現代文明を問う
1 歴史と文明を読み直す(歴史と女性;フェミニズムと文明観)
2 差別の構造としての家意識(天皇制とフェミニズム;儒教イデオロギーと日本の女)
3 女性問題と性の解放(妻はクレージーか;家庭「ホテル化」論を洗いなおす;「試験管ベビー」と生命の私物化;性と“生殖革命”;思春期における性と身体;性の解放とは何か)
4 フェミニズムとエコロジー(女性原理とエコロジー;フェミニズムの未来)
5 「生殖革命」と身体のエコロジー(パンドラの箱としての体外受精;人工生殖の現在と未来;感性と身体性の復権のために)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いとう・しんご
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'86年の初版を’94年に増補した新版したもの。上野千鶴子の批判に応答した「フェミニズムの未来」と「付録 フェミニズム」は当時の女性学の水準を知る上で興味深い。青木は繰り返しイリイチに言及するが、性差別の原因を高度産業社会、内なる帝国主義、西欧的心身二元論などに求めて、どうも論旨がふらついていると思ったら、イリイチの「ジェンダー」を「精読」していないと告白している。上野よりはるかに先鋭的な青木にしてなお、イリイチの「商品集中社会」とその背後にある資本主義批判の過激さについて行けなかったのかもしれない。2020/02/28