内容説明
壁にそって舞う小さな空気の渦、瓶の中でうごめく緑色の球形、握りしめてくる大理石の手…イぎリスの奇才が放つ恐怖の香り。
著者等紹介
梅田正彦[ウメダマサヒコ]
1931年、兵庫県に生まれる。若くしてアメリカに留学し、英米文学を専攻。1956年、ネブラスカ大学よりマスター・オブ・アーツの学位を受ける。その後カナダ国籍となるが、1971年、再びアメリカに戻る。以後、カリフォルニア州に在住
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感想・レビュー
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timeturner
5
『The Black Reaper』で興味を惹かれた作家の唯一の翻訳作品集。表題作のおぞましさは他に類を見ない。短い作品も特徴が際立つものを選んでありユニークで一読の価値がある。難解な原文をきちんと理解したうえで噛み砕いた訳文にしてあるのがありがたい。2022/02/05
fukafkacraft
1
古い怪奇小説特有の、だから何だという典型的な消化不良型のオチ。ノリで書くのたいがいにせいという感じ。2016/10/29
madhatter
1
個人的には、訳者が言うように、表現などを削って、必要な部分のみで構成することが、必ずしも優れた怪奇小説を作ることには繋がらないと思う。「大理石の手」などは内容に過不足がなく、全てが説明され尽くしてしまっているため、逆に無味乾燥な気がした。敢えて書かないことや、叙述を重ねて恐怖を盛り上げることも、同様に効果があるのではないか。私としては、訳者が「ヴィクトリア朝小説の形式にこだわってテンポが遅い」と言う「消えた家」や「床に舞う渦」の方が好きだ。2010/01/18
伊佐奈
0
好みのお話満載で、個人的には大満足でした。特に「冥界児」は話の内容自体も神秘的な雰囲気でいいのですが、それ以上にヒロインに対する形容詞がすさまじくて、最初の方はただただ呆気に取られるばかりでした(ヒロインが人間なのかどうかもわからなかった……)。他、「仮面」は事件解決の方法に意外性があって良かったと思います。2011/10/16