内容説明
“奇妙な形”のロシア文字の姿かたちの変遷を紹介。どこから来てどのように今の形になったのか、起源から今日までの移り変わりを興味深くつづる。
目次
第1章 そもそもの始まり―グラゴール文字とキリル文字
第2章 キリル文字とその資料
第3章 キリル文字のさまざまな書体
第4章 活字印刷の始まり
第5章 18世紀の文字改革
第6章 18世紀から20世紀へ―印刷書体の変遷のことなど
第7章 20世紀の改革
第8章 旧ソ連内外でのロシア文字の利用
第9章 ロシア文字とデザイン
第10章 ロシア文字とコンピュータ・コード
著者等紹介
小林潔[コバヤシキヨシ]
1968年山梨県生まれ。早稲田大学第一文学部露文科卒業。早稲田大学大学院文学研究科修了。専攻はロシア標準語史。現職、早稲田大学第一文学部人文専修助手、筑波大学・マヤコフスキー学院非常勤講師(ロシア語)
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感想・レビュー
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禿童子
38
63ページの小冊子なのでひと息に読める。キリル文字は、9世紀に東方教会からスラブ語でのキリスト教布教のために派遣されたキュリロスとメトディオスの兄弟がギリシア語の字母を元にヘブライ文字の字母を借りて作った文字。東方教会の布教とともにスラブ語圏に普及した(ローマ教会側のスラブ語圏はラテン文字)。当初40字母のうち現代のロシア語に受け継がれたものが31字、そのうち変化したものが8字。後から付け加えられたものを含めて現在は33字母になっている。1音1字で、英語のような不規則な発音がないぶん覚えやすい感じがする。2022/03/30
yoneyama
11
キリル文字はスラブ・ギリシャ、バイリンガルの人の名前だつたのか。862年。文字は、正教会コンスタンチノープル派の教えと共に拡散。それでギリシャ文字っぽいのだ。以前はもっと沢山あったギリシア由来の余計な文字をバサバサ捨てたのがやはりピョートル大帝18c。余計な記号で調整しなくて良い、スラブ言語に合った文字でよくできているんだな。チェコ語やポーランド語などラテン字で書くスラブ語はやっぱ無理が来る。カタカナで英語、中国語書くと無理あるものね。キリル(キュリロス)よくやった。キリル特有の軟母音の話も腑に落ちた。2023/01/28
組織液
9
キリル文字などがどのように生まれ、多様に変化し、普及していったのかという歴史や文化などについて簡単に書かれています。日本ではかなりマイナーな部類に入るとは思いますが、語り口調も優しく非常に分かりやすかったです。ロシア語もできればどんなに楽しいことか…2021/08/06
にせねこ
1
キリル文字がロシア語(の祖先)を表記する様になってから、ロシア語の現代表記までの字母・字体や表記法、書体の変遷について簡潔にまとまっていて良い本だと思う。2015/06/25
けいちか
1
ロシア文字の起源から、18世紀後半と20世紀前半の2回に渡って行われた歴史的な改革について、果てはPCでのフォントの話までちょっとずつたくさんのロシア語の文字についての話が書かれている。ロシア語に興味のある人は多分楽しめます。教会ロシア語は難しいと思ったら、昔のキリル文字そのまま使ってるんですね。2010/02/02