内容説明
かつてマスコミも入れなかったロシアの農村。その片田舎にソ連時代をたくましく生き抜いたベーラばあちゃん。
目次
第1章 若き日々(村の一本道;うるわしのフータル;青き鷹;泥土にまみれて;コルホースは緑に燃えて ほか)
第2章 老いの身を(エカテリーナ;白い都;バーブシカ・ベーラ;旅立ちの装束;遺言 ほか)
終章 あれから
著者等紹介
野田弓子[ノダユミコ]
新潟県出身。金沢大学薬学部卒業。薬剤師として働くかたわらロシアの児童文学の翻訳に長年とりくんでいる。1990年から毎年ロシアを旅し、ドキュメンタリーエッセーを発表している
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感想・レビュー
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晴天
1
ソ連建国直前に生まれ、ソ連と共に育ち、働き、邂逅や離別を繰り返し、やがてソ連崩壊を迎える農村のひとりの女性の人生を描く。激動の歴史は彼女の人生に影響を与えたが、交通の便利の悪い農村では人間が離れたり現れたり、モノが増えたり減ったりという素朴な感覚で描かれる。そうした背景の下で語られる一個人として暮らしの浮き沈みには、感じ入るものがある。ソ連崩壊後に語られる当時の「昔はよかったが、パンのある今の方がよい。ペレストロイカは望んでいなかった。強い指導者が世の中を正すことを待望する」という言葉も迫力がある。2022/11/23