内容説明
本書は、まず何よりも基本的に日本画の習画の段階において、師匠から弟子に与えられ、手に技術を覚え、反復練習するための手本である。しかし、そのようにして初歩の美術学生のための手本として適切な参考品であるとともに、各々が独立し、高度な鑑賞に価する芸術作品である。そればかりでなく、応用範囲の極めて広い第一級の資料集である。本書は、川端玉章がわが国に新しい美術をひらくために開校された美術学校の学生のための参考教材として、全力をつくして制作し学校に納めていったものである。現在、玉章だけで二二九本が東京芸術大学大学美術館に伝えられ、収蔵されている。これらには、玉章の全く秀れた技法が思う存分に駆使されており、題材は花、鳥、虫、野菜・果実、動物、魚介そして風景におよぶ。美術史的に見ると、これらは日本の絵画史のなかで、狩野派に対し、近世から近代にかけ大きな潮流を形成した円山派から四条派に伝えられる筆墨による習練の特色を示すにたりる類のない資料集である。
著者等紹介
福田徳樹[フクダヨシキ]
前東京芸術大学芸術資料館助教授・平塚市美術館館長
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