内容説明
本書はダンディズムとダンディズムの始祖ともいうべきボー・ブランメルの生涯を扱ったものである。何しろ二百年前のイギリスの話だから、理解に苦しむ個所もあろう。そのため、時代背景や当時のイギリス社会についても詳述した。
目次
第1部 ダンディズムの発祥(ダンディズムとは何か;ダンディたちの心情と連帯意識)
第2部 ブランメルの生涯(生誕;ジョージ王子との出会い;ジョージ王子と第十騎兵連隊;ブランメルの美学と全盛期;ブランメルの傲慢性;夕陽との対決 ほか)
著者等紹介
山田勝[ヤマダマサル]
1942年生まれ。神戸市外国語大学英米学科卒業、大阪大学大学院博士課程修了。英文学専攻。現在、神戸市外国語大学教授
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感想・レビュー
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noémi
5
筆者は、ブランメルは貴族ではないがかなりの資産家だとしている。だが、遺産が2万5千ポンド、円にして5億円。バルザックやゾラの小説を参考にすれば、やはりそれは大した額ではない。彼のスタイルは比較的カネのかからないシックなものなのだ。表紙のブランメルはバカにしか見えないが(苦笑)、ロココの余韻を残した満艦飾が当たり前の時代に、白と黒のカッティングを重視したモードを発明したのだから、当時としてはそうとう斬新なはずだ。シミ一つない白をひときわ重んじたこともそうだ。彼が時代のカリスマだったことは間違いない。2011/09/10
遼(haruka)
1
『プレイボーイは女性を追っかけることだけに満足している。ダンディはお洒落と巧みなウィットで女性をひきつけておいて、最後に突き放す』ダンディ(ズム)は人生哲学あるいは思想の具体である。スーツは身体にフィットしたものでなければならない。古くても良くない。しかし仕立て下しも野暮である。ダンディは出来るだけ小さい靴を履く。ひげを綺麗に剃る。彼らのお洒落は「静」のお洒落である。現代風に言えばこれは「洗練されたお洒落」ではないかと著者は指摘する。植物性の香水の使用や、白と黒というシンプルな配色の採用もその表れだろう。2016/05/18
カティサーク
0
自然な生き方を否定して、常に自分を演出し続けるのは、並みの精神じゃ出来ないと思う。「一流の芸術作品としてのダンディ」を生涯演じ続けるのは、ブランメルの生涯を知って孤独であったであろうと思った。 2013/08/13