内容説明
豆腐、まんじゅう、草履、刃物、こんろ、洋服…日常の身のまわりの物を淡々とつくり続けていた職人さんたちが自分の仕事と暮らしを語る。今、なぜこの生き方が魅力なのか―。
目次
1 自然の恵みに逆らわず(夫婦で豆腐づくり;「曲物師」自然を語る ほか)
2 頭で覚えず(草履つくり七十年;饅頭づくり五十五年 ほか)
3 先人の経験を素直に学びながら(甘切れの刃物つくる「村の鍛冶屋」;しなやかに泳ぐ鯉幟を ほか)
4 地域に根付いて流行を追わず(洋服づくり六十年;一年生の心で桐下駄づくり ほか)
5 身近に素晴らしいモノがある(和紙を地場産業に;舶来品にかぶれぬワインづくり ほか)
著者等紹介
北沢正和[キタザワマサカズ]
職人館館主。株式会社しなの文化研究所代表。1949年長野県生まれ。望月町役場(現佐久市)に20余年勤務。職人の取材を始める。同役場退職後、1992年八ヶ岳北麓の山里で古民家を再生し、そばと創作料理の店「職人館」を開館、地場産食材と職人技を融合した農家レストランの草分け的存在となる。併せて、農家レストランの企画受託、講演や執筆活動のほか、地元の食材による地場産品などを企画。長野県をはじめ、いくつかの県、市町村などの地域活性化事業にも関与している。2016年農林水産省「料理マスターズ」第1回シルバー賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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読書ノオト
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1983年前後に長野で収集されたインタビュー録の再編。なりわい、と呼ばれる様々な手仕事。身体と感覚を使いながら、経験を積み重ねて勘を身につける。蕎麦打ち、豆腐作り、木工、下駄作り、紙漉き、草木染……生き生きとした言葉たちの背後にある「失われつつあるもの」への危機感。「昔は良かった」などと懐かしむつもりはない。しかし、確かに失ってきたものがある。それは、言葉にし得ない自然との共感覚、厳しさと乏しさゆえの覚悟と、そこに芽吹く細やかな悦びと温もり。時代の歪みを悔い改めながらも、再考したい世界がそこに確かにある。2023/01/24