内容説明
原著に寄稿している13名は主として地理学を専攻とするが、宗教学、作家、歴史家、演劇の専門家も含む。イメージや象徴としての風景は、風景と文化に関わるさまざまな学問領域―地理学、美術、文学、社会史そして人類学―の研究者が共有する研究対象なのである。われわれの“生”にとって切り離すことのできない風景を、超領域的に、闊達に議論してよいではないか。それを地理学とよぼうが、美学とよぼうが、それは、個人の問題にすぎない。
目次
母なる自然の地理
樹木の招喚的なシンボリズム
ジョージ朝後期イギリスにおける森林の政治的イコノグラフィ
場所と住みか:ワーズワース、クレア、反ピクチャレスク
1710年から1815年の絵画と土地制度の変化
「光と風景」:ジョゼフライトの科学と産業の風景
歴史の剥奪:ランドシーア、ヴィクトリア女王、そしてハイランド神話
カナダ芸術における国家のイコノグラフィ
西部内陸地方の修辞法:19世紀アメリカの宣伝出版物にみる環境描写法
19世紀初期イギリスの町におけるシンボリズム、「儀礼」、そして群衆空間
第二帝政のシンボル:文化戦略とパリ・オペラ座
北方のスフィンクス:18,19世紀スコットランドにおける景観、建築、室内デザインへのエジプト文化の影響
風景の幾何学:16世紀ヴェネツィア本土における実用的・純理的芸術
地図と知識、そして権力
著者等紹介
コスグローブ,D.[Cosgrove,Denis]
Senior Lecturer in Geography,Loughborough University
ダニエルス,S.[Daniels,Stephen]
Lecturer in Geography,University of Nottingham
千田稔[センダミノル]
国際日本文化研究センター教授。1942年奈良県生まれ。京都大学大学院を経て追手門学院大学、奈良女子大学助教授・教授のち、現職・文学博士。主要著書に『風景の考古学』(地人書房)、『古代日本の歴史地理学的研究』(岩波書店)、『王権の海』(角川書店)、『平城京の風景』(文英堂)、『邪馬台国と近代日本』(日本放送出版協会)ほか
内田忠賢[ウチダタダマサ]
お茶の水女子大学大学院人間文化研究科助教授、国際日本文化研究センター助教授(併任)。1959年三重県生まれ。京都大学大学院を経て京都大学助手、高知大学助教授ののち、現職。主要著書に『文学・人・地域』(共著、古今書院)、『風景の事典』(共編、古今書院)、『記憶する民俗社会』(共編、人文書院)、『祝祭の100年』(共編、ドメス出版)ほか
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