柴田元幸翻訳叢書
喋る馬

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  • サイズ B6判/ページ数 253p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784884182892
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

出版社内容情報

底抜けに哀しく、可笑しい。

Coyote 誌上で連載中の「柴田元幸翻訳叢書」。待望の単行本化第2弾は、20世紀のアメリカを代表する作家、バーナード・マラマッド。短いストーリーのなかに広がる余韻、苦いユーモアと叙情性、シンプルな言葉だからこそ持ちうる奥深さ......。長年、マラマッドに魅了されてきた柴田元幸の名訳で贈る、滋味あふれる短編集

2009年10月14日発行


目次

○ 最初の七年
○ 金の無心
○ ユダヤ鳥
○ 手紙
○ ドイツ難民
○ 夏の読書
○ 悼む人たち
○ 天使レヴィ―ン
○ 喋る馬
○ 最後のモヒカン
○ 白痴が先

訳者あとがき
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一年にわたって『Coyote』に短篇を訳してきて、僕自身何度も、マラマッド作品の、短いなかに広がる余韻、苦いユーモアや叙情性、シンプルな言葉だからこそ持ちうる奥深さに魅了されてきた。……マラマッドは何よりもまず書く人であった。ジャック・ロンドンのようにすさまじい勢いで次々作品を生み出していくタイプとは正反対に、推敲に推敲を重ねて作品を彫り上げていく書き手だった。__「訳者あとがき」より

著者等紹介

マラマッド,バーナード[マラマッド,バーナード][Malamud,Bernard]
1914年、ユダヤ系ロシア移民の子としてニューヨークのブルックリンに生まれる。教鞭を執りながら小説を書き、52年、長篇『ナチュラル』(The Natural)で作家デビュー。86年没

柴田元幸[シバタモトユキ]
1954年東京生まれ。東京大学教授、翻訳家。文芸誌「モンキービジネス」の責任編集も務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

紅はこべ

85
アメリカの市井の堅実なユダヤ人の生活を描く作家という印象だったが、幻想ぽかったりもする。表題作が典型かな。『店員』に続き2作目。どの短編も主人公が幸せじゃない。二者の抗争という話も多い。ミステリSFなどのエンタメ系以外の、20世紀アメリカの男性作家ってあまり得意じゃないんだけど、この作家は追いかけてみてもいいかも知れない。2016/07/24

キムチ

72
マラマッド初読みながら、こんなに素晴らしい、技巧に長けた作家とは知らなかった。柴田氏曰く【米文壇において重要な位置にある。ユダヤ系3羽烏の一人】と。18編短編が収められ、優劣つけ難い秀作揃い、ペーソスに満ちた情感が溢れ出ている。個人的には「ユダヤ鳥」「ドイツ難民」「天使レヴィ―ン」「悼む人たち」「最後のモヒカン族」がぐぅ~っと来る。柴田氏曰く、筆者の特徴の一つにあるイディッシュ訛の英語がもたらす悲哀、或る意味民族の哀しみを背後に持った湿り気。堪らない。数作のラストは「妻や子はナチスの掘った穴に投げ込まれ→2025/01/23

えりか

60
ユダヤ系作家マラマッド、初読み。どうしようもない悲しさが溢れた。愛も名誉も自信も何もかもを失った移民の孤独、貧しさ故の苦悩や貧しいからこその未来(次の世代)への希望、もしくは絶望、喋る馬の自我の目覚めと自由への渇望。生きていくということは哀しみの連続なのかもしれない。耐えていかねばならないし、不条理だと感じたとしても、運命を受け止めていかなければならない。それでも、わずかな希望を見いだしていけたら、それでいい。好きなのは「ドイツ難民」「喋る馬」「白痴が先」2016/11/05

マリリン

51
ユダヤ系ロシア移民の子としてアメリカで生まれた著者の作品は、チェーホフを想わせる。幻想的な世界の奥底に独特な皮肉やユーモアに紛れ棲む主張。タイトルが物語る「ユダヤ鳥」、深く印象に残った「ドイツ難民」「悼む人たち」「白痴が先」、悲しみとユーモアが不思議なコントラストを描く「喋る馬」「最後のモヒカン族」。いずれもホロコーストや貧困等、不条理で深く重いテーマを孕んだ作中に抒情性が感じられた不思議な余韻が残る短編。著者の中に受け継がれた血の要素を感じた。 2022/12/25

藤月はな(灯れ松明の火)

39
人生の苦味とエグ味が効いた短編集。ユダヤ系ロシア人というマラッドだからこそ、移民の孤独やマイノリティの矜持や存在性を描けたのかもしれない。『魔法の樽』で既読作品もあり。表題作は内田百閒の「件」をベースに、カフカの「断食芸人」の不条理さをテイストした感じ。しかし、柴田基幸氏のイディッシュ語に目から鱗が落ちる思いです。そっか、他の訳者さんのイディッシュ語は北欧弁化されない『FARGO』のようなものだったんだな~。そして「ドイツ難民」の悲し過ぎる愛の形に泣いてしまいました。2016/06/23

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