内容説明
二〇〇六年末から激しい競争が繰り広げられてきた次世代ゲーム機戦争。だがここにきて、その結果は明らかとなってきた。「任天堂の圧勝」「ソニーの敗北」…。性能の面では他社を圧倒したはずのPS3は、なぜユーザーの支持を得られなかったのか。強大なはずのソニー帝国は、いかにして自滅の道へと突き進んだのか。PS3開発計画の裏に見え隠れする、巨大企業ソニーの問題点を検証する。
目次
第1章 勝敗は三ヶ月で決まった
第2章 ブルーレイのくびき
第3章 PSの栄光に隠されていた闇
第4章 出井体制の「失われた十年」
第5章 久夛良木氏の夢・CELLはソニーを傾かせる
第6章 ソニーはなぜiPodを作れなかったのか?
第7章 PS3は生き残れるか?
著者等紹介
多根清史[タネキヨシ]
1967年生まれ。京都大学法学部大学院修士課程修了(国際政治学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゲオルギオ・ハーン
21
2007年発行。06年に発売されたPS3について当時の状況が書かれている。いま読んでみるとPS3はデータインストール方法を従来通りのディスク主流か、ネットになっていくかという岐路に発売されたハードのように思える。また、本書であまり触れられていないがPS3は多機能すぎる。Blu-ray対応の他、PSやPS2のディスクにも対応、PSP、PSP VITAとの連携やリモートも可能、映像画像の再生録画編集までできる。当時のSCE代表取締役の久夛良木健氏が「安すぎた」と言ったのも分かる気がする。2024/11/22
磁石
19
売れるハードウェア/ゲーム機というのは、規格競争を勝ち抜いたもの、その業界の大手が採用し販売してくれたもの。決して、目新しい新技術が搭載されたモノや作り手に優しいモノではない。ソニーは/PS3は、そこを履き違えてしまった。良く言えば「時代を先取りしすぎた」、悪く言えば「消費者を当てにしすぎた」。今の時代は一から全てを作る「モノ作り」ではなく、世界中で作られた部品を組み立てるだけ、そうでなければ利益がでない。必要なのは技術者ではなく政治家だった。……どんな新製品も技術もコレが問題になる。2017/03/01
磁石
15
未来をとるか今をとるか、ゲーム機単体なのかパソコンと併用するのか、ブルーレイなのかHD-DVDなのか。より面白い異世界を創るよりリアリティを高めるもっと多くの人に楽しんでもらう、そのためには、どうしても演算のパワーが足りない。法則に従い待つわけにもいかない。ただその問題は、皆が補い合い助け合いながらネットワークを広げていけば、すぐに果たされる。そんな未来を夢見て備えたプレステ3だが、あまりにも早すぎた。色々と杜撰な点が多すぎた。ただ、流れは作ったのかもしれない。今後に期待2016/12/28
白義
9
とんがったタイトルだけど中身は普通によく整理されていて楽しめた。プレステブランド構築から久夛良木氏の情熱ゆえの空回り、出井体制の検証など、ソニー内政治の部分が丁寧。また、ゲーム機と最新技術の関係なんかも興味深い。「コンピュータ」と「ゲーム機」のビジネスは違うんだというのは印象に残る。ゲームハード論争とかこの手の分野にはかなり不馴れで個々の論点の逃避はわからないのだけど、プレステ3とソニーをケーススタディにしたビジネス書としても面白いと思う。ただし、これを読んでもゲハ信者にはならないように(笑)!2012/06/06
kenitirokikuti
6
新古書店にて。刊行は2007年、スマフォやニコニコ動画が発芽したばかりの頃である。えーと、ADSLはピークを過ぎて下降してる時期か▲ネットジャーゴン 「物売ってるってレベルじゃねーぞ!」は、PS3(というよりは廉価版BluRayデイスクプレイヤーかな?)発売直後のもの。「ビッグウェーブ」さんと共によくネタになったなァ…▲それにしても、こんなGPUはウルトラリッチなゲームにしか使わんだろうにいったい何に使うんだろう…と思ってたら、答えは「ゲームに使う」だ。映像創造産業として、ゲームは映画の上位にあるのでした2021/01/28