内容説明
膨大な資料による時代考証、原作であるGHQ検閲前の無削除版「戦争と一人の女」、「続戦争と女」、「私は海をだきしめていたい」を一つの話に構成。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
蔦屋重三郎そっくりおじさん・寺
85
坂口安吾の小説を近藤ようこが漫画化。以前、近藤ようこが漫画化した『夜長姫と耳男』を読んで感嘆したので期待して拝読。まずこの表紙がなんかカッコいいと思った。一読、面白いが難しい所もあり(これは私の読解力の無さによる)、いずれまた再読しようと思う。この漫画に出てくる「カマキリ」とアダ名される老人の終戦時の怒りが、こうの史代『この世界の片隅に』の、すずさんの終戦時の怒りと共通している事に驚いた。あの当時当然あった怒りだと思い知らされる。カマキリもすずさんもあの日は泣いたのだ。意外な人ほど真剣に戦争しているのか。2019/06/18
あぶらや
18
夜の空襲が素晴らしいという多情な女が戦争が終わるまでと思いながら男と暮らす。そして終戦を迎える。戦争の中の生活を描いているようで、単純に男と女を描いているように感じる。2022/09/07
みーなんきー
15
戦争中の一人の女と男の物語。終始一貫アンニュイな空気が漂う。戦争や世相からの影響を受けない分、かえってこの二人の世界には真実が見えている。昔の日本映画の様な世界観でした。2015/03/14
多喜夢
10
アンニュイな雰囲気の漂うマンガ。どうしようもない修羅場や愁嘆場になるのかなと思って読み進めていたのだが、そうにはならなかった。坂口安吾の原作を読んでみたい。2017/01/03
さとさとし
7
近藤ようこの、古典の漫画化シリーズ。 戦争が好き、特に夜の空襲が好き。と思う女が主人公。女は娼婦として生きていたが、戦争が激化しその商売もままならなくなった。そのうち客の一人と「どうせ日本は戦争に負け、自分らは死ぬ」からそれまでと夫婦になり、毎日を暮らすお話。被害者の立場で書かれる戦争嫌々ものとは一線を画す。夜の空襲が美しいから好き、空襲が何日もないとイライラして浮気したくなるとか。ちょっと現代人には出てこない設定。全編セックスばっかしてるし。感動するとか面白いではないけど、読んでよかった。2019/12/11