内容説明
膨大な資料による時代考証、原作であるGHQ検閲前の無削除版「戦争と一人の女」、「続戦争と女」、「私は海をだきしめていたい」を一つの話に構成。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
たくろうそっくりおじさん・寺
85
坂口安吾の小説を近藤ようこが漫画化。以前、近藤ようこが漫画化した『夜長姫と耳男』を読んで感嘆したので期待して拝読。まずこの表紙がなんかカッコいいと思った。一読、面白いが難しい所もあり(これは私の読解力の無さによる)、いずれまた再読しようと思う。この漫画に出てくる「カマキリ」とアダ名される老人の終戦時の怒りが、こうの史代『この世界の片隅に』の、すずさんの終戦時の怒りと共通している事に驚いた。あの当時当然あった怒りだと思い知らされる。カマキリもすずさんもあの日は泣いたのだ。意外な人ほど真剣に戦争しているのか。2019/06/18
Vakira
44
坂口安吾さんの短編「戦争と一人の女」「続・戦争と一人の女」「私は海をだきしめていたい」の3編を大好きな近藤ようこさんが描く。映画脚本家の男と遊女上がりの女。何故、戦争なのか?無人島に流れ着いた男女の様に、戦争というある意味、極限状態となった世界にいる男女は助け合い生きて行かなければならない。私は不感症で浮気性。戦争がなければ、脚本家とは一緒にいなかっただろう平時を想う。多分、戦争が終われば、この生活も破綻になる。だから戦争が好き。空襲は綺麗。そんな女性の感覚が奇妙で艶めかしくまたしても惹かれました。2025/12/20
あぶらや
18
夜の空襲が素晴らしいという多情な女が戦争が終わるまでと思いながら男と暮らす。そして終戦を迎える。戦争の中の生活を描いているようで、単純に男と女を描いているように感じる。2022/09/07
みーなんきー
15
戦争中の一人の女と男の物語。終始一貫アンニュイな空気が漂う。戦争や世相からの影響を受けない分、かえってこの二人の世界には真実が見えている。昔の日本映画の様な世界観でした。2015/03/14
多喜夢
10
アンニュイな雰囲気の漂うマンガ。どうしようもない修羅場や愁嘆場になるのかなと思って読み進めていたのだが、そうにはならなかった。坂口安吾の原作を読んでみたい。2017/01/03




