内容説明
信州の貧しい農村に育ち、長じて奈良女高師に入った丸岡秀子は、奈良県生駒郡安堵村に富本憲吉、一枝夫妻を訪ねる。男女が互いに敬愛する夫婦、それが「近代との出会い」であった。憲吉・一枝の自由な生き方に衝撃を受けた秀子が、農村女性の現実を考え、自己の生き方を見定め、母と祖母の人生を「ただ社会の要因であると抽象化し、そのまま風化させてしまうことが出来なかった」ところに著者は視点を定めている。本書は、そこから丸岡秀子の歩んだ道を説き明かしたものである。その生きた道を正確な事実によって復元し、それによって女性のあゆみを客観的に明らかにしている。
目次
はじめに―太鼓楼に登る
秀子の生い立ち
祖父母の家
長野高等女学校時代
奈良女高師時代
富本憲吉・一枝夫妻のこと
富本一枝をたずねて
丸岡重堯と大原社研・東洋経済新報社
重堯と社会経済研究所・社会思想社
重堯との結婚〔ほか〕