内容説明
生業への限りない傾倒と没入によって、より人間らしい生き方を追究。畦道から農本主義の真価を問いかける。
目次
生業とは過去の遺物なのか
食料に価値が特化していく理由
自然の位置づけが遅れた理由
仕事と技術の根本的な違いを解く
農業の近代化はなぜ進められたのか
生きものの生と死の意味と関係
ただの虫から田んぼの世界全体へ
生物多様性は誰のためのものか
農の世界こそ情愛と美のふるさと
なぜ田植えは手植えに限るのか
開かれている百姓仕事と「公益」
必然性のある「環境支払い」の試み
経済の尺度と非経済との関係
そこにいつも、あたりまえにあるもの
ささやかでゆっくりした農本的な生き方
著者等紹介
宇根豊[ウネユタカ]
1950年長崎県島原市生まれ。福岡県農業改良普及員時代の1978年に減農薬稲作運動を提唱。虫見板を普及させ、IPM(総合防除)の百姓的な換骨奪胎に成功。ただの虫という概念は生物多様性の扉をひらいた。1989年に新規参入で就農。2000年福岡県を退職して、NPO法人農と自然の研究所を設立し代表理事に就任。この研究所は、2006年第7回明日への環境賞、2009年第1回生物多様性アワード受賞。2010年4月に10年の使命を終えて解散。農学博士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬弐仟縁
15
精神世界・文化は、経済の上に開花するという思想に染まっている日本人が多すぎる(1頁)。生業とは、自分が生きていく世界の環境がいつもそこにあるように無意識に守っていく営み(13頁)。五穀の生るように務める業=生業(14頁)。農は生業、農業は産業(23頁)。カネにならないものも含む、生産、技術、農業の新定義(88頁~)。カネにならない価値があるのだ。虫には、害虫、益虫、ただの虫と存在する(155頁)。渡来人にとって、彼岸花は稲とともにふるさとの生きものだったのではないか(190頁)。その関わりの謎。2014/12/23